小さな旅のしおり

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孝子の心 咲かせて ~栃木県 宇都宮市~

投稿時間:2018年4月29日 08:24 | 投稿者: | 

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しだれ桜の里として知られる栃木県宇都宮市城山地区。小学校の校庭の真ん中にたたずむ「孝子桜」は樹齢およそ450年、地元の人たちの誇りの桜です。名前は親孝行の息子の伝説に由来します。町のあちこちには孝子桜の子孫のしだれ桜が咲き誇ります。桜まつりで母に聞かせたいと民話語りの練習に励む男の子。屋敷を囲む30本以上の桜を大切にする87歳女性と気遣う息子。一本の老桜をきっかけに親を思う人々を訪ねました。


今回の放送内容

kousi1.jpg例年より暖かな日が続いた3月末から4月初旬。城山地区では、あちらこちらで薄紅色の花を咲かせたしだれ桜が満開になっていました。その多くは、一般のお宅の敷地内。「孝子桜」の子孫と言われている木々が、屋敷森として家屋を取り囲んでいるのです。畑を耕すのどかな田園風景に華やぎを添え、都会の桜とはひと味違う春の情景を楽しませてくれます。


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亀井キンさんのお宅は、城山地区でもひときわ目を引く桜屋敷です。敷地を囲むのは、しだれ桜にソメイヨシノ、河津桜など32本の桜。いずれも亀井家の先祖が300年かけて育ててきました。中でもキンさんが嫁いだ記念に植えられた桜は、一緒に年を重ねた相棒のような存在です。この春、庭先に腰掛けて桜を眺めるキンさんのために、息子の丈彦さんが手すり代わりの石の台を作ってくれました。高齢の母を気遣う息子からの贈り物に、笑顔がほころぶ桜の下です。


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「孝子桜」に見守られながら育つ城山西小学校の子どもたち。今年の春に卒業した小倉悠翔くんもその一人です。4月初旬に行われた桜まつりでは、孝子桜の名前の由来を民話語りで発表しました。春休み、孝子桜の前で練習をする悠翔くんの台本には、マーカーで引いた線や書き込みがびっしり。単に暗記するだけでなく、声色や話す速さで観客を引き込めるようにするのだと言います。女手一つで育ててくれたお母さんに、成長した姿を見せて喜ばせたい。母への思いを胸に毎日毎日練習を重ねていました。


旅人・山本哲也アナウンサーより

kousiyamamoto.jpg見上げる空はピンク色。何十本ものしだれる桜に、見とれていると首が疲れるほどです。これほどの桜の園が宇都宮から30分のところにあるとは。桜まつり、樹齢450年の孝子桜の前で、103面の琴の連弾は圧巻でした。「うちの桜はきれいなんだよう、満開の花を見てあげないと桜がかわいそうだよ」と庭先で話す亀井キンさんは、“花咲ばあば”のよう。しだれ桜咲き誇る、心やさしい里に私の春も弾みました。


宇都宮市城山地区へのアクセス

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〈電車〉
東北新幹線「東京」駅→「宇都宮」駅(約50分)もしくは JR東北本線「東京」駅→「宇都宮」駅(約1時間50分)→関東自動車バス「新鹿沼」行き→「森林公園入口」で下車(約40分)

〈車〉
東北自動車道「鹿沼」ICから県道70号線経由(約20分)


問い合わせ先

▼孝子桜について
 宇都宮市立城山西小学校 028-652-0800(代表)

▼宇都宮市城山地区の観光全般について
 宇都宮市役所・観光交流課・観光企画グループ 028-632-2437


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