小さな旅のしおり

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風を友に 前へ ~茨城県 霞ヶ浦~

投稿時間:2017年10月 1日 08:24 | 投稿者: | 

kasumimain.jpg茨城県南東部に広がる霞ヶ浦は、日本で2番目に大きな湖。平野にあって周囲にさえぎるものがないため、季節や時間、場所によってさまざまな風が吹きぬけます。湖畔の人々は、風と深い関わりを持って暮らしています。風を読んでシラウオの漁場を見極める若手漁師、風の表情を感じるようになったヨット部の女子高生。風を利用した「帆引き網漁」の伝統を伝えるベテラン漁師と若い兄弟。さわやかな風とともに生きる人たちを訪ねます。


 今回の放送内容

kasumigaura1.jpg一年を通して様々な風が吹き渡る霞ヶ浦は、ヨットの練習にはうってつけの場所。現在、地元の4つの高校のヨット部が練習に励んでいます。中には創部60年を超える伝統の部も。高校時代にここで腕を磨き、その後日本代表としてオリンピックに出場した選手も出ています。ほぼ毎日霞ヶ浦の風と向き合い、練習を重ねる部員たち。似た風はあっても同じ風はないのだと言います。二度とない高校生活の充実した日々が、風の記憶とともに彼らの心に刻まれていきます。


kasumigaura2.jpg霞ヶ浦で9月から旬を迎えるのがシラウオ。カタクチイワシなどの稚魚であるシラスとは違い、サケ目シラウオ科の小魚です。34歳の皆藤勝さんは、地元漁師の中で一番の若手。風向きや風の強さによってシラウオの漁場を判断し、漁に出る毎日です。とったシラウオは、塩ゆでして天日で干し、霞ヶ浦伝統の味「煮干し」に加工します。霞ヶ浦の風でゆっくり乾かすことで、しっとり仕上がりうまみも増すのだそうです。


kasumigaura3.jpg明治時代に霞ヶ浦で生まれ、昭和40年代まで行われていた、帆引き網漁。大きな白い帆で網を引き、ワカサギやシラウオをとっていました。現在は観光用の「帆引き船」としてのみ運航されていますが、操船の仕方は当時と変わりません。数少なくなった帆引き網漁の経験者が、若い後継者にその技術を伝える努力を続けています。1枚の帆でいかに風を受け、風を逃がすか。風を操る技が受け継がれていきます。


旅人・山田敦子アナウンサーより

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霞ヶ浦で素晴らしい船を見ました。大きな一枚帆に風をはらみ、凧のように滑りながら網を引く「帆引き船」。竹の帆柱に竹の横木を渡し、巨大な白い帆が翻りながら揚がっていく様子は圧巻です。それにしても霞ヶ浦の風のめまぐるしいこと!一日の間にも吹いてはやみ、方向が変わり…この風を読んで船を御するのは並大抵のことではありません。今は観光用に無理せず漁をしていますが、昔は「風が強いほどとれる」、危険と隣り合わせの漁だったそうです。網を上げるとかかっていたのはきらきら日の光を跳ね返す透明なシラウオ。清涼感あふれる漁でした。


 霞ヶ浦へのアクセス

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〈電車〉JR常磐線「上野」駅→「土浦」駅(約1時間10分、特急で約40分)→徒歩10分

〈車〉常磐自動車道「土浦北」ICから10分

※霞ヶ浦は広大なため、最もアクセスのよい土浦市側をご紹介しています。


問い合わせ先

▼霞ヶ浦全般について
 茨城県観光物産協会 029-226-3800

▼観光帆引き船について
 番組でご紹介したのは行方市の帆引き船です。それ以外に土浦市とかすみがうら市でも操業しています。

・行方市(操業期間:12月3日までの土曜日、日曜日)
 行方市開発公社 0299-55-3927

・土浦市(操業期間:10月15日までの土曜日、日曜日)
 土浦市観光協会 029-824-2810

・かすみがうら市(操業期間:11月26日までの日曜日)
 かすみがうら市観光商工課 029-897-1111


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