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わだつみ 命たたえて ~千葉県 南房総市~

投稿時間:2017年8月27日 08:24 | 投稿者: | 

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房総半島の最南端、千葉県南房総市。隆起した広大な磯と、黒潮と親潮のぶつかり合う豊かな海に囲まれ、古くから海女漁や沿岸漁業が盛んに行われてきました。全国的にも珍しい「料理の神様」が祀られる神社では、料理人たちの“命ある食材”への感謝の祈りが捧げられてきました。夏、小さな港町に、巨大なクジラが水揚げされます。豊富な海の幸に恵まれ、伝統の食文化を受け継いで生きる人々の暮らしを訪ねます。


 今回の放送内容

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400年前の江戸時代初期から続いている、南房総のクジラ漁。戦後の食糧難の時代には人々の暮らしを支え、今も房総の味として地域に深く根ざしています。和田漁港の捕鯨基地では、国際条約で捕鯨が禁止されている種ではないツチクジラを、夏に26頭だけ水揚げします。50年以上鯨肉を購入している岡田春江さんは、この夏の恵みをご近所の皆さんと分かち合います。残りは房総名物の保存食「くじらのたれ」に。大好きな鯨肉を多くの人に味わってもらいたい。岡田さん大忙しの夏です。


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1000年以上の歴史を持つ、南房総の海女漁。代々、母から子へ、クロアワビを採る技が継がれてきました。潜る衣装は、伝統の白装束。ウェットスーツと違い身体が冷えるため、漁の時間が短くなりますが、それが採りすぎを防ぎ、資源を守ることにつながっているのだといいます。この地域で一番の若手・鈴木祐美子さんは、海女漁のない日、自ら厳選したテングサでところてんを作り、クリームあんみつにして都心からの客に提供しています。海女たちが伝統的に守ってきたふるさとの豊かな海を、自分自身も守って生きていこうと考えています。


bousou3.jpgのサムネイル画像全国でもめずらしい、料理の神様を祭る高家(たかべ)神社。ご祭神はおよそ1800年前の朝廷の料理長で、全国から腕の上達を願う料理人たちが参拝に訪れます。地元生まれの料理人・堀江洋一さんは、神社で毎年行われる儀式、“包丁式”を受け継ごうと練習に励んでいます。平安時代から続くこの儀式、すべての所作には食材となる命への感謝が込められています。堀江さんは、海の恵み豊かな町で育つ地元の子供たちにもその心を伝えようと、神社の境内にある調理室で料理教室を開いています。


bousouyamamoto.jpgのサムネイル画像旅人・山本哲也アナウンサーより

体長10メートル、重さ10トン。間近で目にするツチクジラのなんと大きいことか。子供の頃から食べてきたとはいうものの、解体現場に初めて立つと、命をいただくという意味が改めて体全体に浸み込んできました。クジラに感謝の気持ちが湧いてきます。クジラをはじめ、アワビに伊勢エビ、アジ、サバ、イワシ、房総半島の先は海の恵みにあふれていました。またゆっくりと味わいたい地です。なめろうに焼酎はたまりません。


高家神社へのアクセス

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<電車>
JR京葉線「東京」駅→「蘇我」駅でJR内房線乗り換え→「千倉」駅

<バス>
東京駅八重洲南口高速バス乗り場から「千倉駅前」まで約130分

<車>
館山道「富浦」ICから約30分


問い合わせ先

▼捕鯨・海女漁について
東安房漁業協同組合 0470-43-8311

▼高家神社について
高家神社 0470-44-5625

▼南房総市について
南房総市 商工観光部 0470-33-1091

 


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