小さな旅のしおり

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海荒れて 恵みあり ~青森県 風間浦村~

投稿時間:2017年1月 8日 08:24 | 投稿者: | 

ankoumain.jpg津軽海峡に面する青森県・風間浦村は、一年を通して豊富な海の幸に恵まれます。冬の風物詩は、集落の漁師総出で行われるアワビ漁や、生きたまま水揚げされるアンコウ漁。漁師たちはわずかなナギの日を見つけて、冬の海へと繰り出します。アンコウの刺し網を集落に広めた漁師と、父の後を継いだ若手漁師。義母から継いだアンコウ料理の味を守る旅館の女将。津軽海峡の幸とともに暮らしてきた漁村の冬の営みを訪ねる旅です。


今回の放送内容

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11月中旬、村の港でアンコウ漁が解禁されます。漁の最大の特徴は、目の荒い刺し網で、生きたまま水揚げすること。鮮度がよく、首都圏では高級魚として取り引きされます。大漁のアンコウを前に「最高にうれしい」と話すのは、約30年前集落で初めてアンコウ用の刺し網で漁を行った木下尚さん。中学卒業以来船に乗り、とる魚に合わせて漁具の試行錯誤を重ね、津軽海峡の海と向き合い続けてきました。


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 11月に解禁される漁がもう一つあります。最高齢は90歳まで、漁師のほとんどが船を出す集落総出のアワビ漁です。古くから、冬の間の人々の暮らしを支えてきました。40年以上のベテラン・中塚義光さんは、底がガラスの箱メガネで水中をのぞき、アワビを探します。手がかりは、エサのコンブがしげる場所。大きなアワビを見つけると、長さが5メートルあるヤスで殻ごと一突き。昼前には家へ戻り1個1個丁寧に殻をむいて洗います。出荷分以外は親戚やご近所におすそ分けします。こうして漁の日には、村の多くの家庭で食卓にアワビが並びます。


kazama3.jpg硫黄のにおいがたちこめる下風呂温泉。冬の温泉旅館街は、アンコウ料理を目当てに多くのお客さんでにぎわいます。佐賀敏一さんと典子さん夫妻が営む旅館では、新鮮な刺身や、定番のアンコウ鍋とともに、昔ながらの郷土料理が人気を集めています。アンコウの身や皮などと、肝、みそを和えた「あんこうのともあえ」。肝のコクと、具材の食感が楽しめます。味付けは家庭毎に異なり、おかみの典子さんは、嫁いですぐにしゅうとめのすみゑさんから教わりました。アンコウが高級魚となり、家庭で作られることが少なくなった「ともあえ」。典子さんは、常連さんから愛されてきた先代の味を、これからも守り継いでゆきます。


 旅人・山田敦子アナウンサーより

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下北半島北端の街で、珍しい物にたくさん出会いました。水揚げされたばかりの、20キロもある生きたアンコウ。黄色い目がギョロギョロ動き、ガバッと開いた大きな口に吸い込まれそう。サメ、カレイ、アワビ、タコ。凍りついたような海から続々と揚がってきます。陸ではアツアツの温泉。小さな温泉郷ですが、場所によって透明、白濁、日によって色が変わる、など個性豊かです。ツルツルに凍った道をすたすた歩き、「何の撮影?」と優しい目で話しかけてくる方たち。寒くて、あったかい北の街でした。


 風間浦村へのアクセス

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〈電車〉
青い森鉄道「青森」駅→「野辺地」駅でJR大湊線乗り換え→「下北」駅(約2時間)→下北交通バスで「下風呂」下車(約75分)

〈車〉
東北自動車道「青森」ICから国道279号線を北上(約3時間)
東北自動車道「八戸」ICから国道338号線、国道279号線を北上(約3時間)


問い合わせ先

▼風間浦村のアンコウ、観光一般について
風間浦村役場 産業建設課 0175-35-2111

▼下風呂温泉について
下風呂温泉旅館組合 0175-35-2010


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