小さな旅のしおり

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願い満つる夏 ~新潟県 粟島~

投稿時間:2016年9月 4日 08:24 | 投稿者: | 

awamain.jpg日本海に浮かぶ新潟県粟島は約360人が暮らす漁業と観光の島です。島の至る所で目にするのは、小さな鳥居やほこら。荒海に囲まれた厳しい環境の中、漁の神様や風の神様など、さまざまな神仏が信仰されてきました。庭にまつる守り神様に祈り続ける女性。母乳の神様を通じて、出産や育児への不安をなくす母親。かつてあがめられていた馬と触れ合うことで、不登校から立ち直った少年。祈りに支えられてきた島を訪ねます。


今回の放送内容

awa1.jpg脇川イツさんは、粟島で民宿を営んでいます。毎日立ち寄るのが、家の守り神として自宅の庭に代々祭られてきた「あわしま様」。漁に出る息子、島外で暮らす子や孫達の無事と幸せを祈り、毎日お参りをします。夫が入院先の病院で手術を受けることになった時に、あわしま様の力を強く感じたという脇川さん。夫のもとへ駆けつけたいと願を掛けたところ、海のしけがおさまり、船に乗って病院へ向かうことができたのです。今日もまた息子の漁が無事に終わったのを見届けると、あわしま様に祈りをささげています。


awa2.jpg森田裕美子さんは、1歳の娘を子育て中。島のお堂にある乳入観音に、我が子の成長を願ってお参りをしています。4年前、夫と共に神奈川県から移住した森田さん。島には頼りにできる親や親戚もおらず、子育てに悩む日が多くありました。しかし乳入観音にお参りしたのをきっかけに、島の人たちも試行錯誤しながら子育てをしていたのだと知って気持ちが楽になったといいます。今ではおばあちゃんたちに、育児について気軽に相談しています。


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17歳の高島照信くんは、この夏、アルバイトで「あわしま牧場」の馬の世話をしています。島に初めてやってきたのは、中学1年生の時。当時、高島くんはいじめに遭い、不登校になっていました。両親の勧めで、山村留学の制度を利用し、島に一年間滞在。そのとき、人間不信になっていた高島くんの心を癒したのが、牧場の馬でした。次第に、牧場で一緒に働く明星泰崇さんにも心を許せるようになっていったのです。他の人とも仲良く話せるようになりたいと、いまも、休みのたびに島に訪れ、島の人たちと交流しようと努力しています。


旅人・山田敦子アナウンサーより

 awa-yamada.jpg風の神は「風の三郎様」、火の神は「小峰様」、子育ての守りは「乳入観音様」、漁師の守りは「弁天様」…粟島の人たちは沢山の神仏に囲まれて暮らしています。そうやって幾重ものバリアを巡らさなければ不安なほど、日本海に隔てられたこの小さな島の暮らしは厳しいものだったのでしょう。でも今、島を歩くと、素敵だなあと思う気持ちばかりが募ってきます。小さなほこらにお参りする後ろ姿、地区の人がこぞって参加する祭り。先祖代々の信心の集積が守っているかと思わせる、穏やかなたたずまいの島でした。


粟島へのアクセス

awajima-map.png

村上市内の岩船(いわふね)港より粟島港行きに乗船
フェリーで1時間半、高速船で1時間ほど
(岩船港へは、日本海沿岸東北自動車道「神林岩船港」ICより車で約5分)


問い合わせ先

▼粟島の観光情報一般について
 粟島観光協会 0254-55-2146


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