2018年05月20日 (日)

ふるさとの鉄路と せせらぎに明日乗せて ~山口県 錦川清流線~

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山口県の東部、岩国市を縦断するように流れる清流・錦川。この川に寄りそうように走る鉄道が「錦川鉄道 錦川清流線」です。岩国市街地と山間の小さな集落を結びます。川の魅力を車内アナウンスする新人運転士や、廃線危機にあった鉄道を存続させた地元住民たち、過疎の集落に住む人々を結びつける「神楽」を大切に守る中学生。沿線には他の何にも代えがたいそれぞれの日常があります。川が輝きを増す新緑の季節に、列車でトコトコと訪ねました。


今回の放送内容

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錦川清流線の最大の魅力は、車窓から見えるダイナミックな錦川の風景です。新人運転士の野坂優希さんは、豊かな表情を見せる錦川沿いの見所をメモに書きため、車内で案内アナウンスをしています。大学時代に趣味の釣りで錦川を訪れて以来、沿線の美しい景色にほれ込んだ野坂さん。その魅力をお客さんにも感じてほしいと奮闘する毎日です。大好きな川や山を眺め、四季を感じながら運転できるこの仕事を、とても気に入っていると語ります。


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岩国市街地にある「岩国駅」から上流の「錦町駅」までを結ぶ錦川清流線。14ある駅のうち11が無人駅です。その一つ「河山駅」では、近所の女性たちがボランティアで駅舎の掃除を行っていました。駅の目の前に自宅がある数井令子さんも、参加者の一人です。庭のすぐ先に電車が止まる、この家に住んで50年。夫の虎夫さんと一緒に鉄路の変遷を見守ってきました。昔のにぎわいが失われた町の様子にさびしさを感じながら、この列車だけは走り続けてほしいと願う二人です。


nisiki3.jpg錦川清流線の真ん中に位置する「行波(ゆかば)駅」周辺は、40戸ほどの家々が並ぶ小さな集落です。川の氾濫や凶作に悩まされてきたこの土地では、昔から五穀豊じょうの願いをこめて「岩国行波の神舞(かんまい)」が奉納されてきました。300年以上がたった今も、舞はこの集落に根付いています。行波に生を受けた男たちは全員が神楽団の一員。中学生の中都優太君も、5歳の頃から稽古に励んできました。「神楽をすることが日常の習慣の一つ」と話す優太くん。先祖代々、地域の人たちが一丸となって伝承してきた舞を、これからも守り続けます。


旅人・山本哲也アナウンサーより

nisikiyama.jpg山が動くような勢いの新緑、その緑を映す清流錦川のゆったりとした流れ。錦川清流線の車内は、日差しを浴びながらぼうっとできる癒やしの空間です。「庭先を列車が走ることがくらしのリズム」とうれしそうに話す数井さんご夫婦。列車を見る目は孫でも眺めているよう。行波の神舞を伝承する3歳から80代の地区の人たち。淡々と進む舞の稽古に地域を伝えるひたむきさが伝わってきました。


錦川清流線へのアクセス

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〈電車〉
JR東海道・山陽新幹線「東京」駅→「新岩国」駅(約4時間15分)→徒歩5分で「清流新岩国」駅

〈車〉
山陽自動車道「岩国」IC→「岩国」駅(約20分)または「守内かさ神」駅(約5分)


問い合わせ先

▼岩国市の観光について
 岩国市観光振興課 0827-29-5116

▼岩国行波の神舞について
 岩国市文化財保護課 0827-28-5353

投稿時間:08:24


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