わたしの東京物語 風吹く街 ~新宿 松本隆~
「ルビーの指環」「赤いスイートピー」など数々のヒット曲で知られる作詞家の松本隆さんが、青春時代をすごした東京・新宿を旅します。アングラ演劇、ヒッピー、フォークゲリラなど、1960年代当時、新宿は新しい若者文化を象徴する街でした。松本さんの音楽活動の原点となった花園神社界隈(わい)や、歌詞に影響を与えた路面電車の線路跡、ビルの谷間に残る商店街などを巡りながら、青春の街・新宿の今昔を見つめます。
今回の放送内容
歓楽街の脇にたたずむ、花園神社。1960年代、ここには数多くの若き芸術家たちが集っていました。当時19歳の松本さんも、神社隣のディスコでアメリカンロックを演奏していました。しかし、時はベトナム戦争まっただ中。松本さんは、ディスコで心がすさんだベトナム帰還兵を目撃し、アメリカへの憧れに疑問をもちます。この経験が、“日本語ロックの元祖”と呼ばれるバンド・はっぴいえんどの結成へとつながっていきました。
ビルの谷間に残る昔ながらの商店街。はっぴいえんどのアルバムジャケットの舞台となった場所です。戦争で二度家を失った石井稔さん(89)は、戦後、再起をかけてここで八百屋を開きました。新宿が大好きだという石井さんは、経営を退いた今も、なじみの客に会おうと毎日店に顔を出しています。松本さんは、経済成長と共に消えていくこうした風景にこそ大切なものが隠されていると考え、作詞のモチーフにしてきました。
歌舞伎町の雑居ビルで夜な夜な開かれている、俳句の会。俳人の北大路翼さんが主催する「新宿歌舞伎町俳句一家・屍(しかばね)派」です。会社員に作家の卵、バーテンダーなど、さまざまな人たちが集い、都会の片隅で出会う何気ない風景や、行き場のない感情を、17文字につづっています。かつてこの街で日本語ロックを模索した松本さんと、今の新宿に生きる若者たち。表現への熱い情熱が、世代を超えて心をつなぎます。
新宿へのアクセス
〈電車〉
JR・東京メトロ・都営地下鉄・京王線・小田急線「新宿」駅
西武新宿線「西武新宿」駅
投稿時間:08:24