プミポン前国王が亡くなりワチラロンコン国王が即位してから、およそ4年。
若者たちの一部は、王室への誹謗中傷を罰する『不敬罪の廃止』や『国王の神格化教育の禁止』など10項目にわたって王室の改革を訴えています。
なぜいま、若者たちはタブーを犯してまで変化を求めているのでしょうか。
浅見教授
「特にこの時期に動きが高まった理由としては、新型コロナウイルスの問題があります。
タイはもともと観光業が盛んな国ですので、外国からの観光客が入ってこないことは、タイ経済に非常に大きなダメージを与えます。
高校生や大学生がデモや集会の中心になっているんですけども、口々に自分たちの将来が心配だということを言っています。
実際いまのタイ経済は、新型コロナウイルスの影響もあり非常に大変な状況ですので、それに対して有効な対策を打ち出すことができない政治指導者に対する憤り、不満、失望というのがあります。
そこに重ねて、たくさんの予算を無駄に使っているように見える国王に対する不満。
そしてその国王に対して何も言うことができないプラユット首相に対する不満というのに重なってきます。
2016年にプミポン国王が亡くなってから新しい国王になったワチラロンコン国王なんですが、まあいろいろと言動に問題がある。
よく問題に挙げられるのは、タイ国内にいないということですね。
そうした中で、国王が多額のお金を海外で使い続けていることに対する憤りが、新型コロナウイルスの問題が出る以前よりもさらに強くなっている。」
抗議活動は首都バンコクのみならず、地方でも行われています。
若者たちはネット上で連携し、活動を広げているのです。
浅見教授
「夕方になって学校が終わったり、あるいは会社が終わったりしたら自発的に来て、夜になったら、次の日は学校とか会社があるので帰るっていう形のデモですね。
なのでこれまでより、人数は今の時点では少ないんだけども、かなり自発的に、しかも若い人たちが参加してる。
ツイッターのトレンドというのがあるんですが、4~5日に1回は王様をやゆする、あるいは王室に対する不満を表すハッシュタグがトップ5に入るような状況になってきました。
これだけ一斉に言えば捕まらないぞということになって、集会の際に結構、王室批判を掲げるようになりました。」