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2019年9月13日(金)

マハティール首相 米中を語る

西海
「マレーシアのマハティール首相のインタビューをお伝えします。」

丹野
「マハティール氏は1981年から22年にわたって首相を務め、強力なリーダーシップで国を率い、マレーシアを東南アジア有数の工業国へと発展させました。
いったんは一線を退きましたが、去年(2018年)、世界でもほとんど例がない、90代の国家指導者として、再び首相に就任しました。」

西海
「歯にきぬ着せぬ辛辣(しんらつ)な発言で大国への批判もいとわないアジアのご意見番に、今、世界を揺るがしている中国とアメリカの問題について聞きました。」

マハティール首相に聞く 香港一国二制度は

先週、来日したマハティール首相。

西海
「お会いできてうれしいです。」

94歳となった今も各国を精力的に訪問し、国際情勢について積極的に発言しています。
まず、香港で続く抗議活動について、共産党一党支配の中国が香港に高度な自治権を認める「一国二制度」の限界があるという認識を示しました。

マレーシア マハティール首相
「一国二制度が長い間、機能するとは、私は決して思っていませんでした。
案の定、こうした事態となりました。
結局、1つの制度しか残らないのです。」

西海
「1つの制度とは?」

マレーシア マハティール首相
「香港の人たちは、中国本土の制度を受け入れざるをえないでしょう。」

そのうえでマハティール首相は、さらに混乱が長期化した場合、中国政府が武力で介入する可能性を指摘しました。

マレーシア マハティール首相
「天安門事件の時に起きたことを考えてみてください。
中国政府は、抗議活動を押さえ込もうとするでしょう。
しかし、結局は抑えきれずに、中国本土から部隊を送り込むことになるかもしれません。」

西海
「天安門事件の時と同じようにですか?」

マレーシア マハティール首相
「もし中国政府がうまく対処できず、抗議活動が収束しなければ、そして自治や独立を求める声がますます高まれば、中国政府は許さないでしょう。」

マハティール首相に聞く 米中対立の行方

その中国とアメリカが繰り広げている貿易摩擦については、世界経済への影響に懸念を示したうえで、交渉によって解決するべきだという考えを示しました。

マレーシア マハティール首相
「対立からは何も生まれないと思います。
貿易の不均衡があるなら、話し合いによって是正する方がはるかにいいのです。
そして、それは可能なのです。
しかし、トランプ大統領は中国との貿易戦争を始めると決めてしまいました。」

さらに、アメリカが中国からの輸入品に関税を上乗せしても、中国は経済成長を続けるという見方を示しました。

マレーシア マハティール首相
「アメリカが制裁を科しても、中国はほかの国との貿易を続けるでしょう。
中国を封じ込めたり、制裁を科したりするのは、簡単ではありません。
しばらくは経済成長が減速するでしょうが、徐々に適応していくはずです。
最終的に大きな代償を払うのは、アメリカなのです。」

そのアメリカのトランプ大統領についてはー。

マレーシア マハティール首相
「評価するのは、とても難しいことです。
普通のアメリカの大統領ではないからです。
彼は他人を犠牲にしてアメリカを偉大にすることに熱中しています。」

そのうえでマハティール首相は、米中の対立がエスカレートして貿易国家・マレーシアにとって重要な海の航路を脅かすことに懸念を示しました。
マレーシアは東アジアと中東やヨーロッパなどを結ぶ海の交通の要所・マラッカ海峡と、領有権争いのある南シナ海に面しています。
この地域をめぐって、アメリカと中国はそれぞれ、「自由で開かれたインド太平洋」と「一帯一路」という構想を掲げて関与を強めようとしています。
マハティール首相は、どちらの国とも良好な関係を保つべきだと強調しました。

マレーシア マハティール首相
「これまで私たちはうまくやってきました。
アメリカとも中国とも、けんかをしていません。
航路が開かれていることが大事なのです。
1つだけ懸念しているのが、アメリカと中国の双方が、南シナ海に艦船を展開させることです。
アメリカがそうすれば、中国も同じようにします。
南シナ海が米中の艦船でいっぱいになれば、不測の事態や衝突が起きるかもしれません。」

マハティール首相 米中両大国の間で

丹野
「西海さん、マハティール首相と実際に会ってみて、どんな印象でしたか?」

西海
「94歳とは思えないほど、かくしゃくとしてお元気でした。
話し方はとても穏やかなんですが、その内容はほかの国の指導者はなかなか言えないような、率直で大胆な発言で、長年、国を率いてきたリーダーとしての貫禄を感じました。
特に印象的だったのが、『中国ともアメリカともケンカはしない。貿易ができればいい』という言葉です。
マハティール首相はアメリカが使用しないよう求めている中国の通信機器大手・ファーウェイの製品を使い続けると表明しているんですが、これについて尋ねると、『制裁や製品のボイコットは経済にとっていいことはない、私たちはどの国の企業ともビジネスを行うのだ』と明言しました。
貿易の問題にしろ、海洋をめぐる問題にしろ、中国とアメリカという大国の間でどちらかにつくのではなく、微妙なバランスを取りながら、自国の利益を追及していくしたたかさを感じました。」

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