BS1 ワールドウオッチング - WORLD WATCHING -

2018年2月19日(月)

中国 資源ごみ輸入禁止の波紋

塩﨑
「特集ワールドアイズ。
けさは、中国の資源ごみの輸入禁止についてです。
経済成長を続けてきた中国では、これまで、国内の製造業が不足している原料の資源を補うためだとして、外国から資源ごみを買い取り、リサイクルして使ってきました。
しかし、2期目を迎えた習近平政権の環境政策の下、去年(2017年)末から、一部の資源ごみの輸入を禁止。
この措置によって、国内のリサイクル業者をはじめ、輸出元の国々で、今後の影響について懸念が高まっています。」

藤田
「今回、中国政府が輸入禁止としたのは、こちらの4種類の一部で、合計24品目になります。
生活由来の廃プラスチック・8品目、選別していない古紙、繊維系廃棄物・11品目、使用済みの鉄鋼用添加剤など・4品目です。
中でも、この『廃プラスチック』は、家庭ごみとして出されるペットボトルや発泡スチロールなど、全てのプラスチックごみが対象となっています。」

塩﨑
「中国国内の産業に多くの再生資源を必要としながら、輸入禁止とした背景には何があるのでしょうか。
その背景と中国国内への影響について、イギリスBBCのリポートをご覧ください。」

中国の汚染悪化で資源ごみ輸入禁止

中国は何十年もリサイクルを行ってきました。

彼はごみを細かく分解し、生活の糧にしています。
5年前からするこの仕事は、大変だと言います。
しかし、これは、環境保護のためではなく、稼ぐためにやっているのです。
多くの原材料が必要な中国では、労働者が外国からのごみを分別しています。
しかし、政府が輸入を中止しました。
中国は長らく、世界中から出るごみの最終受け入れ先でした。
2016年には、730万トンものプラスチックごみを輸入。
イギリスは、毎日1,200トンを中国に輸出してきました。
輸出できなくなる理由がこれです。

中国は豊かになる一方、環境汚染も進みました。
今、汚染物質によって、大きなダメージを受けているのです。
中国政府は、外国から来るごみの一部は危険で、これ以上のごみは要らないと訴えました。

中国廃プラスチック協会 ワン・ワンさん
「今後、輸出国はみな誠実な行動が求められます。
自分たちが出すごみや汚染源の処理に責任を持たなければなりません。」

中国 資源ごみ輸入禁止 国内産業に影響

しかし、中国はまだ、ダンボールや紙、ポリスチレンなどの再生資源を必要としています。
加工された製品は輸出元の国に売られることもあります。

上海郊外のこの工場には、イギリスで魚を入れる箱として使われていたポリスチレンがありました。
これを砕いて加熱し、大量のプラスチックの小さな破片に変えます。
そして額縁や写真立てに加工され、その一部は私たちのところにも輸出されてくるのです。
今、こうした商品の供給に問題が出ていると言います。

リサイクル企業 フランク・リューさん
「工場を続けるには、再生プラスチックが5万トンほど必要ですが、国内のプラスチックごみだけでは足りません。」

このように、中国国内のビジネスに痛手があっても、政府の姿勢は厳しいままです。
中国共産党にとって、キレイな中国の実現こそが最優先課題であり、これが緑の革命なのでしょう。

藤田
「スタジオには、再生資源の国際取引やリサイクルに詳しい、ジェトロ・アジア経済研究所の小島道一さんをお迎えしました。
よろしくお願いします。」

塩﨑
「中国政府はなぜ今、廃プラスチックの輸入を禁止したのでしょうか?」

ジェトロ・アジア経済研究所 小島道一さん
「中国は1980年代から、廃プラスチックの輸入をはじめ、2000年以降ですね、急激に輸入量を増やしてきています。



こちらで見るように2012年ぐらいがピークでしょうか。
非常に、世界中からですね、廃プラスチックの輸入をしてきて、いろんな製品を作っています。
先ほど見ましたように、額縁になるとか、いろいろなおもちゃとかですね、そういうものに作り替えていくということをしています。
石油からつくるプラスチックで製品をつくるよりも、廃プラスチックをリサイクルして製品を作った方が安くできるということで、そういうような輸入を進めてきたというところがあります。
輸出側も国内で製品にするよりも、中国に輸出をしてリサイクルする方が安上がりにできるということで、そういう流れがでてきたということです。

例えばペットボトルですと、ペットボトルを輸入してですね、破砕・洗浄したものを輸入してリサイクルし、中綿にする。
人形とかの中綿にするということがされてきました。
そういうようなものを含めて、いろいろな再生資源を輸入してきたわけですけども、リサイクル工場からさまざまな残渣(ざんさ)が出てくる。
あるいは、公害対策が十分でなくて、汚染物質が垂れ流されるというような問題が起きています。
先ほどのBBCの放送でもありましたように、河川が汚染されるとか、大気が汚染されるとかいう問題が起きています。

2期目を迎えた習近平政権が環境対策をさまざまな形で強化をしています。
大気汚染対策もきびしくしていますし、同じように再生資源の輸入に関しても厳しい措置を、4月に習近平国家主席が委員長をしています、委員会の中で、輸入規制を厳しくするという方針を打ち出しまして、7月にはWTOに通告し、これから厳しくしますというようなことを宣言をしています。」

塩﨑
「中国はこれまでどのくらい再生資源を受け入れてきたのでしょうか。」

藤田
「こちらをご覧ください。
世界各国の国内で処理しきれない廃プラスチックは、海外に輸出して処理されます。
世界では、年間におよそ1,500万トンもの廃プラスチックが輸出されていますが、その半分近くを中国が輸入してきました。
香港経由で入るものも含めると、そのシェアは世界の6割と言われています。

中国に輸出してきた主な国や地域は、日本、アメリカ、ヨーロッパの各国などです。

塩﨑
「これまで資源のリサイクルを中国に大きく依存してきた各国ですが、今後、どのような影響が考えられるのでしょうか。
イギリスの影響について、BBCのリポートをご覧ください。」

中国 資源ごみ輸入禁止 困惑するイギリス

ここロンドン南東部のごみ処理センターでは、大量のごみの分別が行われています。
スチール缶は磁石を使って取り出され、企業に売却されます。
瓶や紙、ダンボールも分類されます。
これらも需要があるからです。
プラスチックも分けられますが、レジ袋の選別は困難です。
しかし、きちんと分ければ販売できます。
これまで、その最大の市場が中国でした。

*記者
「これは、私たちが出したごみのほんの一部ですが、中国は、処理が困難なごみを、もう受け入れないとしています。
汚れが残っていたり、複数の種類が混ざったごみなどです。
中国の措置はリサイクル業界に激震をもたらしています。」

受け入れを拒否された大量のごみが、香港で積み上がっています。
イギリスにごみの山ができるのも時間の問題です。

リサイクル協会 サイモン・エリンさん
「考え方を変えるきっかけになるでしょう。
この20年間、イギリスのごみ回収は中国ありきでした。
イギリスの紙やプラスチックのごみのおよそ半分を輸出してきたのです。」

今後どうなるのでしょうか。
インドやその他の国に売ろうとしていますが、限界があります。
国内で焼却処分するという方法もありますが、全てのごみが焼却できるわけではありません。
最も環境に優しい方法は、国内でリサイクルしたプラスチックの製品をもっと増やすことです。

資源再活用企業 エステル・ブラチリアノフさん
「イギリスでは、まだごみを回収するだけですが、今回の中国の措置は、環境対策を講じる最大のチャンスになるかも知れません。」

中国 再生資源 禁輸 輸出国への影響は?

藤田
「中国の廃プラスチック輸入禁止で影響を受けるイギリスの例をご覧いただきましたけれども、他の国々にはどんな影響が出ているのでしょうか?」

ジェトロ・アジア経済研究所 小島道一さん
「欧米を中心に再生資源の回収を、いろんなものをいっしょくたに集めてきて、先ほどのBBCの放送にありましたように、その後分ける、集めるときは一緒に集めて、あとで機械選別をするということをしてきています。
そういうようなプロセスですと、どうしてもいろんな再生資源が混ざってしまう、ある程度分けても混ざってしまうということが起きています。
日本ですと消費者がですね、分別をして、古紙もいろんな種類に分けて排出をしてますけども、そのようなことをすると、質の高い再生資源が生まれるという形になっています。
日本に比べると、欧米のいっしょくたに集めてきたところの影響が非常に大きいと、非常に困っているという状況かと考えています。
それでも日本でも影響があります。

日本からの廃プラスチックの輸出量、中国の輸入量が増えたと同時に増えてきたというような歴史があります。
日本の1年間に排出されている廃プラスチックは約900万トン。

そのうちの140万トンあまりが輸出をされて、昨年ですと72%が中国、香港を含む中国に輸出をされているというような形になっています。
日本も中国に頼ってきた部分があり、困っている業者も出てきているというような状況にあります。」

中国 再生資源 禁輸 日本への影響は?

塩﨑
「中国が輸入禁止に踏み切った今、日本は、今後も、廃プラスチックを外国に輸出できるのでしょうか?」

ジェトロ・アジア経済研究所 小島道一さん
「昨年の秋からの貿易統計を見ますと、中国への輸出が減少する傍ら、タイとかベトナムとか東南アジア向けの輸出が増えたりしてきています。
アメリカからはインド向けの輸出も増えて来ているという形になってきています。
他のところに輸出先を探すということもありますが、BBCの放送でもありましたように、受け入れ国側もあまり汚いものは来てほしくはないということを考えていますので、きちんと分別をし、いいものを出していくことが重要かと考えています。」

資源リサイクル 世界の行方は?

塩﨑
「さらにブランド化もしているんですね。」

ジェトロ・アジア経済研究所 小島道一さん
「そうですね。
日本の場合ですと、そのような品質の高いものを、例えば廃プラスチックですと『資源プラ』と呼んでですね、差別化していこうというような取り組みをしています。
そのような取り組みは重要かというふうに考えています。」

塩﨑
「世界の資源リサイクル、何を目指すべきなんでしょうか?」

ジェトロ・アジア経済研究所 小島道一さん
「各国ごとにですね、すべて国内でリサイクルしていくということはなかなか難しいかというふうに思っています。
いろんな製品がグローバルに作られて、供給されている構造の中で、いかにその生産拠点にいろんなものを資源として戻していくかということが重要だと考えています。
また、中国が輸入を止めたということもありまして、リサイクルをきちんと進めていくようなことが必要で、EUは今年(2018年)の1月にプラスチック戦略というのを発表してですね、使い捨てのプラスチックの使用を2030年までになくしていくという方針を打ち出しています。
きちんとリサイクルしていくというような取り組みを強化していこうということです。
そのような取り組みが重要かというふうに思っております。」

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