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そもそもの話…台湾の人たちは自分を“何人”と思っているの?


蒋介石率いる国民党が中国大陸で共産党との内戦に敗れ、台湾に逃れてきたのが1949年。当初は中国大陸を共産党の手から奪い返そうと「大陸反攻」を掲げ、一党独裁体制を敷いた国民党だが1987年に戒厳令を解除すると、2000年に中国と距離を置く民進党が初めて政権交代を果たすなど、台湾では約70年かけて民主的な政治制度や自由が根づいてきた。台湾の人たちは、いま、「中国」についてどう思っているのだろうか。



外省人と本省人

台湾に移った国民党政権は中国大陸で一般的に話される標準的な中国語を公用語として使用するよう義務づけたほか、首都を南京と定めるなど台湾の人々の生活には「中国」が大きく存在していた。

特に、国民党とともに台湾に移り住んだ中国大陸出身者とその家族は「外省人」と呼ばれ、多数が軍や政府機関などで働き、支配層として高い中国人意識を持っていた。一方、1949年の中台分断前から台湾に住む人々「本省人」は、標準的な中国語とは発音が大きく異なる台湾語を話すなど独自の文化を育んできたが、国民党政権は台湾語の使用を禁止。抑圧されてきたのが実態だ。しかし、2000年に誕生した民進党政権が台湾語を小学校の授業に取り入れるなどした結果、本省人の間で台湾人意識が強まっていった。

台湾人アイデンティティーが高まる背景

中国との関係をめぐって長年対立してきた外省人と本省人だが、2世、3世と世代が進むにつれて帰属意識に変化が出てきたのは「外省人」だ。台湾生まれの増加に従って「台湾と中国は別だ」という考えが定着。特に、1996年に初めてトップの総統を直接選挙で選べるようになるなど、民主や自由、それに人権といった普遍的な価値が認められてきた台湾に対し、共産党一党支配のもと締めつけを強める中国との違いはますます拡大。外省人の間でも若い世代を中心に対中警戒感が高まっているのだ。

さらに、前回、2016年の総統選挙で民進党の蔡英文総統が圧勝した要因の1つとなったのが「天然独」と呼ばれる20代から30代の若者世代。天然独は「生まれながらの独立派」という意味で、台湾の民主化が進んだ1990年代以降に教育を受けた若い人たちを指す。台湾が実質的に独立しているような状態で育ち、中国大陸との歴史や中国人意識とは無縁。外省人や本省人といった区別はもはや意味をなさず、「台湾は台湾だ」と自然に考えるのが天然独の特徴といえよう。
こうした傾向は、台湾の人たちのアイデンティティーの調査結果からも読み取れる。

台湾の政治大学が実施している調査では、自分を「台湾人」だと考える人は1992年の17.6%から2019年には56.9%と3倍以上増加する一方、「中国人」だと考える人は1992年の25.5%から2019年にはわずか3.6%まで減少している。
ビジネスで中国との結びつきが強い台湾の人も多く、一概には言えないものの、台湾の人々がみずからを台湾人と考え、中国と距離を置こうとする傾向は強まっているといえるだろう。

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