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中国が香港を手放さないワケ


香港がイギリスから中国に返還された1997年当時、中国と香港のGDP=国内総生産の割合は100対18だった。人口12億の中国に対し、その1%にも満たない人口わずか650万の香港だが、経済力を考えれば「金の卵を産むニワトリ」といわれるほど重要性は高かった。しかし、近年この割合は100対3にまで落ち込んでいる。


抗議活動による混乱が長期化するなか、経済的な貢献度が低下しているなら手放してしまえば?と思うかもしれない。しかし、中国は香港を手放すワケにいかない理由がある。そもそもイギリスが植民地として統治する前の香港は清朝の領土だった。そのため、中国にとって香港は領土主権を守るため、譲ることのできない「核心的利益」の1つだ。さらに、一国二制度で守られた「経済活動の自由」も重要だ。共産党の指導下にある中国に比べて資本の移動や資金調達が容易で、優秀な人材が確保できる。その上、香港に対してアメリカが、一国二制度を前提に関税やビザなどで優遇措置を認めたため、多くの中国企業が香港に進出し、その恩恵にあずかってきた。中国にとって、国際的な金融センターとして発展してきた香港の貢献は計り知れない。

出典:中国国家統計局

中国共産党が今後も一党支配を続けるためには、安定的な経済成長が不可欠。減速傾向が鮮明な中国を投資や貿易を通じて支える香港の重要性はむしろ高まっている。香港の抗議活動が激化して中国経済がダメージを受けるのは、習近平指導部にとっても大きな痛手。中国政府としてはいち早く抗議活動を収束させ、香港にこれまで通り「金の卵を産むニワトリ」でいてほしいのだ。

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