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シリーズ 「難民アスリートの挑戦」

第一回「シリア 片足を失った“難民スイマー”」4/23(火)放送

2020年、いよいよ来年に迫った「東京オリンピック パラリンピック」。国際報道2020では、世界各地で困難と闘いながらTOKYOを目指す難民アスリートたちの姿をシリーズで追います。

「難民アスリート」が注目されたのは、2016年に行われたリオデジャネイロオリンピック パラリンピックで「難民選手団」が初めて結成された時でした。紛争や迫害などが理由で、母国を追われた難民アスリートたちのオリンピックへの参加の道を開きました。この試みは、人々に感動を与えただけでなく、世界中にいる難民たちの多くにとっても、夢や希望となりました。そして、東京オリンピックでも再び「難民選手団」の結成が決定。また、東京パラリンピックでも、今後、結成される見込みです。

シリーズ第一回目の4/23(火)の放送では、内戦で足を失いながらも、同じように戦争で障害を負った人たちを勇気づけたいと、戦火から逃れたギリシャでパラリンピックを目指すシリア人水泳選手を紹介します。また、生き別れた家族との再会を願い、一人で練習を続けるエチオピア人の陸上選手や、異国の同胞たち、特に子どもたちと共に未来を切り開きたいと、東京オリンピックで追加競技に採用された空手に出場することを夢見るシリア人選手も紹介します。

難民アスリートたちの姿を通して、スポーツがもたらす「生きる力」に迫ります。

制作者メッセージ

飯野真理子ディレクター

シリーズ1回目はシリア出身の水泳選手を追っています。
シリアは、私が大学時代に留学した国です。子供のころに読んだ漫画にアラブの文化が描かれていたことがきっかけでアラビア語を学ぶようになりました。当時のシリアは、今では考えられない平和な時代でした。まさか、「今世紀最大の人道危機」と呼ばれる事態が起きるとは思ってもみませんでした。今回、シリアの難民アスリートたちにアラビア語で連絡をとった時、異国の地で苦悩してきた彼らはとても喜んでくれました。そして、初めて人に話すということも聞かせてくれました。

今回取材した3人の選手の一人が言った言葉―。
「人間らしさを失ってはいけない。人間らしさとは、他人のことを考えられることだ」。
取材中、あまり多くを語ろうとしなかった選手が、不意に、言葉を詰まらせながら、私に語りかけたのです。
様々な事情で母国を追われ、異国を目指し、逃れた先でも、多くの苦難に直面してきました。
壮絶な人生を生き延びてきたからこそ、他の人の痛みや悲しみを敏感に感じることができるのかもしれません。

今、世界の難民は、6850万人に上ると言われます。
難民を取り巻く状況は悪化し、2秒に1人が移動を強いられていると言います。

シリア出身 イブラヒム・フセイン選手

インタビューが故郷の話に及ぶと、難民アスリート達は、時に声を詰まらせながら話してくれました。競技の結果に影響しないよう、平常心を保つため、遠く離れた故郷のことはなるべく思い出さないようにしている選手もいました。しかし、国を離れても、彼らの心の中には故郷があるのです。

彼らは、強いアスリートとしての姿を見せることで、希望を持てないでいる難民、特に子供たちに、少しでも希望を届けたいと思っています。

シリア出身 イブラヒム・フセイン選手

練習中は厳しく自分を追い込み、その心身に背負うものの大きさを感じずにはいられませんでした。同じような困難にある数千万の難民たち、命を落とした同胞たち、スポーツをする余裕などなく、日々生きるだけで精一杯の人たちのことを彼らは決して忘れていません。

エチオピア出身 ヨナス・キンデ選手

今回取材した選手たちは思いやりにあふれていました。家を訪ねた時には、食べきれないほどの母国の料理をふるまってくれたり、何日もかけて手作りのプレゼントを準備してくれていたりしたのです。“気にかけてくれてありがとう”、そんな言葉の裏には、忘れ去られている多くの仲間たちのことを伝えてほしいという願いが見えました。

来年の東京オリンピックでも「難民選手団」が結成されます。理想を言うなら、「難民」という言葉がなくなればいいと思います。それでも「難民選手団」が結成されたことで、世界中の人々が「共生」を考えるきっかけになることを期待します。それは私だけでなく、彼らの望みでもあります。

多くを失った後に立ち上がり、たゆまぬ努力を続け、人のことを思いやる、そんな強く優しい彼らの姿が「難民」のイメージをほんの少しでも変えていくことを願います。
スポーツという視点から難民に注目するこのシリーズ。
苦難と向き合いながらもスポーツを通して、必死に生きる難民アスリートの姿をご覧ください。

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