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特集

2020年10月12日(月)掲載

「Qアノン」政界へも影響拡大

小林
「特集ワールドアイズ。
けさは、トランプ大統領を熱狂的に支持する『Qアノン』と呼ばれるグループについてお伝えします。」


高橋
「まず、こちらをご覧下さい。

これは、2018年に行われたトランプ大統領の集会に参加した人たちの様子ですが、『Q』という文字が入った服を着ている人が目立ちました。
彼らは『Qアノン』と呼ばれ、インターネット上で『Q』と名乗る人物を信じる人たちです。

『Q』が主張しているのは、“ディープ・ステート=闇の政府”の存在です。
一部のエリートからなるその“ディープ・ステート”が、アメリカの政界やメディアを支配し、国民をおとしめようとしていて、トランプ大統領はその陰謀を阻止する救世主であるという現実離れした主張です。
ところが、今、SNSなどを通じてこの主張の支持者が急速に増えていると言います。」

小林
「アメリカの大統領選と同日に行われる連邦議会選では、『Qアノン』への支持を公言していた政治家が議席を獲得する勢いを見せています。
アメリカのメディア監視団体『メディア・マターズ・フォー・アメリカ』によると、『Qアノン』の主張を何らかの形で支持している候補は、共和党を中心に20人以上いるということです。
『Qアノン』の台頭は、アメリカ社会に何をもたらすのか。
アメリカの政治や社会に詳しい、慶應義塾大学教授の渡辺靖さんに話を聞きました。」

「Qアノン」政界に進出

小林
「『Qアノン』を支持したり、シンパシーを持つ人が政治の世界にまで進出している動きを先生はどうご覧になっていますか?」

渡辺教授
「これまでにもいろいろな陰謀論はありましたが、実際に中央政界に来るということはなく、そういった過激な考え方は、どこかで排除しようというメカニズムが働いていたと思います。
これまでであれば、封じ込まれていた陰謀論というものが、ついにワシントンの、しかも中枢にまで入り込んで来ているというのは、アメリカの歴史においても初めてかも知れないですね。」



ネットで増殖“Q”の陰謀論

インターネットを通じて増殖する“Q”の陰謀論。
その勢いはことし(2020年)に入ってますます強まっていると言います。

渡辺教授
「2か月ほど前に、フェイスブックが『Qアノン』関連と思われる団体をピックアップして、そのフォロワー数を数えたところ、300万人以上いたということです。
そして、グーグルがことしの初めから夏までの半年間に、『Qアノン』を用いた検索回数を調べたところ、この半年で、10倍以上に増えていたというデータもあります。
やはり、この数か月で、相当求心力を高め、広がりを見せている運動だと言えると思います。」



「Qアノン」台頭 その背景は

急速に台頭する背景には何があるのか。
渡辺さんは、大統領選挙に向けた党派対立の高まりに加え、新型コロナウイルスの影響も大きいと分析しています。

渡辺教授
「コロナ禍で生活が苦しく人とのつながりもなくなり、家で“巣ごもり状態”で、オンラインに触れる場面が増える。
すると、『Qアノン』のような陰謀論が求心力を持つことになるのだと思います。
“本当はこんなはずじゃないのに。誰かによってはめられているんだ”と。
それが、政治的には、まさに政治のエリートとか、エスタブリッシュメントに対する反感として結び付きやすいわけです。」



大統領と通じる“Q”の世界観

「エリートによる支配」に強い敵対心を抱く「Qアノン」。
こうした考え方はトランプ大統領の世界観にも通じるものがあると、渡辺さんは指摘します。

渡辺教授
「トランプ大統領自身も、もともと政治の世界と関係のないビジネスの世界から来た方で、言ってみれば、“アウトサイダー”です。
前回の大統領選挙の時も、民主党、そして共和党も含めて、インサイダー(エリート層)が、ワシントンをこんなひどい街にした、アメリカを、こんなみじめな国にしてしまったということを、いろいろな例を挙げて訴えたわけです。
『Qアノン』の人たちの世界観とトランプ大統領が持っている世界観は、かなりシンクロする部分があるのです。」



「Qアノン」大統領選後は

大統領選挙の投票日まで、あと3週間。
渡辺さんは、「Qアノン」の選挙自体への影響は限定的だとしつつ、選挙後の動きには警戒が必要だと見ています。

渡辺教授
「仮にトランプ大統領が敗れた場合は、トランプ大統領という“救世主”が“闇の勢力”によって負かされたということになり、不満を持った『Qアノン』が、インターネットで連帯、連携を呼びかけて何か暴動を起こすというようなシナリオも、頭に入れておかなければならないと思います。」

小林
「『Qアノン』をめぐっては、一部の支持者の過激な行動により、FBI=連邦捜査局が“国内テロにつながる恐れがある”として警戒しているほか、フェイスブックやツイッターといったSNSも、関連するアカウントを削除するなど監視を強めています。
アメリカでは、左派、リベラル派とされる人たちの中にも過激なグループが存在しています。
選挙結果をめぐり左派のグループとの衝突も懸念されており、動向を注視する必要がありそうです。」

高橋
「ここまで、アメリカで台頭する『Qアノン』についてお伝えしました。」

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