BS1 ワールドウオッチング - WORLD WATCHING -

特集

2020年7月8日(水)掲載

レジ袋有料化 先行事例に学ぶ

世界的に高まる“脱プラスチック”の動き。日本では、今月(7月)1日からレジ袋の有料化が義務づけられたが、世界では日本に先立ってレジ袋有料化の取り組みが進んでいる。12年前(2008年)にいち早く有料化に踏みきったのが中国。またタイでは、ことし(2020年)1月からレジ袋の無料配布をやめる取り組みを始めている。先行事例から日本が学ぶべき今後の課題とは?

制度が形骸化する中国

北京 2020年6月24日

中国では、スーパーに買い物に行くと、レジの横に「袋は有料」と表示されている。

北京 2008年

有料化のきっかけは、レジ袋のポイ捨てが深刻化したこと。中国では2000年代から、路上に捨てられたレジ袋が「白色汚染」と呼ばれて問題となり、中国政府は2008年から厚さ0.025ミリ以下のレジ袋の生産や使用を禁止するとともに、それ以上の厚さのレジ袋については、店側が料金を徴収するよう義務づけた。

北京 2020年6月24日

しかし、レジ袋有料化から10年余りが経ち、この制度がうまく機能していないとの指摘が出ている。「レジ袋有料」の表示を掲げている店でレジ袋について店員に聞いてみると、こんな答えが当たり前のように返ってきた。

スタッフ

「レジ袋は無料なの?」

店員

「お金はいらないよ」

こちらの果物店でも―。

スタッフ

「レジ袋は?」

店員

「1枚目はサービスだよ」

商店の多くが、レジ袋を無料で提供しているのが実情なのだ。

環境団体メンバー 孫敬華さん

北京でごみ問題などに取り組む孫敬華(そん・けいか)さんたちのグループは、有料化から10年を機に、2年前(2018年)中国全土の約1000店を調査。その結果レジ袋代を徴収していたのは、わずか17%にとどまっていることが判明した。「店どうしは競争関係にあり、ほかの店がレジ袋を無料で提供するのに自分の店が無料にしなければ、客を奪われてしまうかもしれないということでしょう。大手の店には管理や処罰も行われていますが、小さい店には管理が行き届いていないのです」(環境団体メンバー孫敬華さん)。



レジ袋の削減につながらない?

さらに、有料化がレジ袋使用の歯止めになっていないこともわかってきた。店からレジ袋をぶら下げながら出てきた買い物客に“レジ袋にお金を支払うこと”について聞いてみた。

買い物客①

「そんなに気にしません」

買い物客②

「袋を持っていなければ買うし、それがいくらかなんて気にしません」

レジ袋は日本円で2円から6円ほどだ。経済成長に伴って所得が増える一方で、レジ袋の価格はほとんど据え置かれたままで消費者が負担を感じなくなっている。

孫敬華さん

そのため孫さんたちのグループは、レジ袋の価格設定を上げる必要があると訴えている。「レジ袋を1枚、1人民元(約15円)程にすれば消費者も考慮するようになり、有料化の効果も高まるでしょう」(環境団体メンバー孫敬華さん)。



タイ 感染対策で“プラ増”

新型コロナウイルスの感染を防ごうとして、プラスチック製品の使用が増えてしまう現象も起きている。ことし1月、大手スーパーなどが政府の呼びかけに応じてレジ袋の無料提供をやめたタイ。「マイバッグ」が定着してきたところで、感染が拡大した。外出を控えようと、料理の配達やテイクアウトのサービスを利用する人が増えたのだ。持ち帰り用の料理にはプラスチックの容器や袋が使われ、プラスチックごみも増える傾向にあるという。

レストラン(バンコク2020年6月22日)

このレストランでは料理を1品ずつ、タレもそれぞれ袋に入れて提供しているため、多くのプラスチック製品が必要になる。レストランのオーナーは「プラスチック製品を使わないのは難しい。ほかの方法は思いつきません」と話す。

プラスチックごみの回収箱(バンコク2020年6月21日)

こうした中、タイでは、政府と企業などがリサイクルのプロジェクトに乗り出している。デパートなどにプラスチックの回収箱を設置。将来的には、回収したプラスチックを細かい粒状に加工して製品化し、リサイクルを定着させたいとしている。

タイ ワラウット天然資源・環境相

「大事なのは国民の決意です。もう少しの努力で適切なりサイクルの仕組みができます」(タイ ワラウット天然資源・環境相)。

ページの先頭へ