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特集

2020年6月11日(木)掲載

PCR急増の仏 立役者は日本の技術

新型コロナウイルスの感染状況をコントロールするために重要な取り組みの1つが PCR検査だ。日本政府は検査態勢を強化する方針を示しているが、実施数は、欧米などと比べて少ない状況が続いている。こうした中、急速にPCR検査数を増やしているのが、フランスだ。1週間あたりの検査数を日本と比べると、実に5倍以上にのぼっているという。そして、その検査の急増に貢献しているのが、実は日本の技術だった。

仏で導入された“全自動検査機器”

5月から外出制限を大幅に緩和しているフランス。政府は制限緩和に合わせ、週70万件を目標とするPCR検査の拡充を発表し、感染者をいち早く見つけようと各地でドライブスルー方式も導入している。
さらに、これまで検査は主に大きな病院で行われてきたが、小規模な民間の施設も協力するようになり、その数、合わせて4840か所。検査機関は毎日フル稼働だ。

全自動PCR検査機器

こうした中、検査の効率化のために導入が進んでいるのが、検査のすべての工程を全自動で行うことができる機器だ。これまでの検査方法と比べて、時間を3分の1に短縮できるという。

PCR検査には、検体に含まれるウイルスから遺伝子を抽出する工程と、それを増幅して検出しやすくする工程がある。従来は、数台の機器を使ったり手作業で行ったりすることも多く、6時間程度かかっていたという。

全自動PCR検査機器の内部

しかし、全自動の機器であれば、抽出や増幅など一連の作業が1台の機器だけで完結し、検体と試薬が入ったカートリッジを一度セットするだけで結果が判明するようになっている。また、異物の混入の恐れもないため正確な結果が期待できる。
今回取材した検査機関では、政府が検査の拡充を打ち出してから、検査数が6倍に増えたが、全自動システムを使っているため、問題なく対応できているという。「従来のやり方では、時間もかかるし高度の専門技術を持つ人員が必要だった。全自動なら検査員が感染する恐れもなく、結果も早く得られる。第2波の恐れもあるので、2台目を注文しているところだ」(ジュリーアンヌ・ルビエール医師)

開発した日本企業 今後へ期待

千葉県・松戸市 「プレシジョン・システム・サイエンス」

実は、この全自動で検査できる機器を開発したのは、千葉県・松戸市にある精密機器メーカー「プレシジョン・システム・サイエンス」。長年、遺伝子検査の自動化に取り組んできた。

全自動PCR検査機器

社長の田島秀二さんによると、機器が小型であることも評価され、この3か月あまりでフランスだけで去年1年の販売総数に近い17台を納入し、他にも世界各国から引き合いがあるという。「カートリッジを並べ検体をセットし、フタを閉めてスイッチを押せば作業が終わるところが評価されたと思う」(プレシジョン・システム・サイエンス 田島秀二社長)

田島秀二社長

ただ肝心の日本国内では、検査の精度などを申請して国の認可を得ることが必要で、いまのところ、この機器は現場では導入されていない。田島社長は、今後は手続きを急ぎ、第2波への備えに貢献していきたいとしている。「新型コロナウイルスの検査で使ってもらうためには、保険適用が必要で認可をとらなければならない。全国で300拠点くらい使用できる場所が整えば、リアルタイムで患者さんのPCR検査ができるのではないかと考えている」(プレシジョン・システム・サイエンス 田島秀二社長)

新型コロナウイルス感染拡大の第2波への懸念が拭えない中、PCR検査を充実させるためにも、日本の技術のいち早い認可が期待される。

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