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特集

2020年6月10日(水)掲載

アメリカで勃発!“郵便投票騒動”

先月(5月)26日に投稿されたトランプ大統領のツイッターが波紋を呼んでいる。アメリカでは、新型コロナウイルスの感染予防という観点から、11月に行われる大統領選挙について、郵送での投票を認める動きが広がっているが、これについてトランプ大統領が「郵送で投票を行えば郵便ポストは奪い去られ、投票用紙は偽造される」と投稿し、拒絶反応を示したのだ。これに対し、ツイッター社は、投稿に誤解を招きかねない内容が含まれているとして、利用者に注意を呼びかける青色のラベルを大統領に対して初めて表示。しかしトランプ大統領は直ちに「ツイッターは言論の自由を抑圧している。大統領選挙への介入だ」とツイートで返し、反発している。郵便投票を巡る騒動を取材した。

全米で広がる郵便投票

投票専用の郵便箱に投かんする有権者(メリーランド州 2020年6月1日)

今月(6月)2日、大統領選挙の予備選挙などが行われた東部メリーランド州。有権者たちが、投票専用の郵便箱に、次々と投票用紙を投かんしていく姿が見られた。いまアメリカでは、新型コロナウイルスの感染予防から、郵便による投票が例年に比べ急増している。アメリカ国内では、元々郵送投票での選挙を行っていたコロラド州、ハワイ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州の5州に加え、今回のウイルスの感染拡大に伴って、カリフォルニア州やニューヨーク州なども郵便投票の利用を呼びかけている。

メリーランド州 カルバート郡 ゲイル・ハットフィールド選挙管理委員長

「初めての経験で、課題や改善点が見えてきています。今回の郵便投票が、これからの選挙の標準になるのであれは、もっとうまくできるでしょう」(カルバート郡 ゲイル・ハットフィールド選挙管理委員長)。

民主党も郵便投票導入を主張

民主党 ペロシ下院議長(ワシントン 2020年5月21日)

野党民主党は、11月の大統領選挙についても、郵便投票の導入を求めている。コロナの感染が続く中で、必要な措置だと主張しているのだ。

民主党ペロシ下院議長
国民は、投票と健康の二者択一を迫られるべきではない。
導入に必要な36億ドルは民主主義と投票をする
国民の健康を守るためのわずかな投資だ。


トランプ大統領は“不利”を懸念

しかし郵便投票について、トランプ大統領は会見でも猛烈に反対。

アメリカ トランプ大統領(ワシントン 2020年5月26日)

トランプ大統領
郵便投票は“不正をしてくれ”とお願いするようなものだ。
用紙を盗んだり、勝手にサインをして送ったりするだろう。

背景には、郵便投票の導入は自身の選挙に不利に働くという考えがある。投票率が低い傾向にある若者などは民主党の支持基盤とされ、郵便投票で投票者が増えることを警戒しているとみられるのだ。

郵便投票の影響は果たして・・・?

スタンフォード大学の論文

しかし、こうしたトランプ大統領の主張には最近、異論も出ている。ことし4月、スタンフォード大学の研究グループは、郵便投票は投票率を押し上げるものの、どちらかの党に有利に働くことはないという研究結果を発表した。

左:栗原岳史記者 右:政治コンサルタント ジョン・パドナー氏

さらに、トランプ大統領の身内でもある共和党の関係者も、郵便投票を否定することは逆効果だとしている。共和党の選挙戦略に携わってきた政治コンサルタントのジョン・パドナー氏は、国民の60%以上が郵便投票の導入を支持している中、トランプ大統領の反対を疑問視している。

ジョン・パドナー氏

「“郵便投票が不正の温床”だと主張することは、支持者にも投票を控えさせることになります。執拗に反対するのは危険です」(政治コンサルタント ジョン・パドナー氏)。

トランプ大統領

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、導入が進む郵便投票。その動きが、11月の大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領にとって吉と出るか凶と出るか。注目だ。

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