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特集

2020年5月20日(水)掲載

“新型コロナ時代” 世界のペット事情

新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けているのは、人間だけではない。都市封鎖の影響でペットが長期間に渡って室内に取り残されたり、飼育を放棄されたりするケースが増えているのだ。こうした中で、インターネットを使ってペットの新たな里親を探したり、飼い主がペットを飼う際の条件を厳しく設けたりするなど、各国で様々な取り組みが行われている。“新型コロナ時代”の世界のペット事情とは?

飼育放棄相次ぐ中国

保護された猫(中国 武漢 5月2日)

都市封鎖が行われていた中国・武漢では、ある飼い主が帰省先から戻れなくなり、1匹の猫が3か月以上にわたって室内に取り残された。その間、近所に住む男性がボランティアで猫の世話にあたった。男性の元には、この猫以外にも、「ペットの世話を見に行って欲しい」「一時的に保護して欲しい」といった相談が相次ぎ、これまでにペットの世話をするために60軒以上の家を訪ねたという。都市封鎖で室内に取り残されたペットの悲惨な状況について男性はこう語る。「最初にこの猫を助けた時、エサも水もなく雨水を飲んで飢えをしのいでいた」
さらに中国では、新型コロナウイルスを巡る情報が思わぬ事態も引き起こしている。海外でペットが感染したというニュースが広がった結果、ペットを捨てる人が増えているというのだ。飼い主への感染を恐れた行動と見られている。

動物保護施設(中国 江蘇省4月20日)

中国の江蘇省にある動物保護施設。飼育放棄された犬や猫などは1月下旬からの3か月で200匹あまりと、去年の同じ時期と比べて2倍以上に増えた。「新型コロナウイルスの影響で放棄されるペットがいまだに増え続け、なんとかしなければいけないと感じる」(動物保護施設責任者 王衛文さん)

ペットの譲渡会 (中国 上海市4月18日)

社会活動が元に戻りつつある中、この施設では、SNSなどを通じて新しく飼い主になってくれる人を募り、ペットを引き取ってもらうイベントを開催している。先月(4月)開いたイベントでは、飼育放棄された40匹を用意し、23匹が新しい飼い主に引き取られていった。それでも保護される犬の数に追いつかないのが実情だ。「現在1000匹以上の動物を世話している。動物が感染源になるという証拠はないと思う。ペットを簡単に捨てないでほしい」(動物保護施設責任者 王衛文さん)

オーストラリア 里親探しを“オンライン”で

保護された動物 (5月12日)

オーストラリア・ニューサウスウェールズ州にある動物保護団体「RSPCA」の施設。ここでは、飼い主に手放されるなどして保護されたペットの引き取りを希望する人が増えている。州全体の3月後半の引き取り件数は、去年の同じ時期と比べて、約30%増えた。しかしこの施設では、4月初旬から、感染予防のため一般の立ち入りが禁止され、引き取りを希望する人が訪れることはできない。

そこで、この団体が活用を始めたのがインターネットで里親を募集する「オンライン縁組み」だ。施設のウェブサイトに、犬や猫など、さまざまな動物の情報を掲載。名前や年齢のほかに、ペットの性格やそれぞれに適した飼育環境を詳しく紹介している。希望者から問い合わせがあると、団体のスタッフが電話で面接を行い、飼育環境や動物との相性などに問題がないか、慎重に確認。そして審査をクリアしたらスタッフが希望者の自宅まで動物を連れて行くようになっている。

シャンタール・ドスさん

シドニー周辺で、2人の子どもと暮らす小学校教師のシャンタール・ドスさん(39)。以前から犬が欲しいと願っていたが、忙しく実現できずにいた。しかし、在宅勤務になったのをきっかけに、犬を本格的に探し始めたという。もらい手がいない犬が多くいることを知り、保護施設から引き取ることにした。

左:ドスさんの息子ジャックくん 右:マーリンくん

先月(4月)、オンライン縁組みで見つけたのがマーリンくん。子どもたちにもすぐになつき、仲良く遊んでいるという。「マーリンのおかげで忙しくしている。家族の間でさらに愛があふれた。一緒にいて心地よいし楽しいし外出制限を乗り越える助けになっている」(シャンタール・ドスさん)

アメリカで懸念 再び飼育放棄?

アメリカでも捨てられたペットを引き取る人が増えているが、いま懸念されているのは、ペットを引き取った人たちが元の生活に戻った時に飼育放棄してしまうことだ。

こうした事態を防ぐため、ニューヨークの動物保護団体「FRIENDS WITH FOUR PAWS」では、新たにペットを引き取る人に誓約書の提出を義務づけている。「責任を持って世話をすること」や、万が一、世話ができなくなった時には「団体に連絡すること」など、12の項目が決められている。

ボニー・エドワーズさん

この団体から犬を引き取ったボニー・エドワーズさんは、誓約書を書くことで、飼い主としての責任を強く感じたという。「元の生活に戻るには、長い時間がかかると思うが、私は犬がいるので幸せだ。何があっても一緒に暮らし続ける」(ボニー・エドワーズさん)。
さらに団体では、飼い主にペットを引き渡したあとも、生活環境を確認するため、調査員を派遣する取り組みも行っている。「私たちの役目は犬にとって安全で、快適な住まいを提供すること。引き取られたあともずっと幸せに暮らしてもらいたい」(動物保護団体「FRIENDS WITH FOUR PAWS」ニナ・アグエロリオス副代表)

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