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特集

2020年5月15日(金)掲載

台湾・韓国 プロ野球開幕!コロナ対策は?

新型コロナウイルスの影響で、世界各地でプロスポーツが開催できなくなっている。日本でもプロ野球開幕は延期されたままだ。そうした中、台湾は先月(4月)12日、韓国は今月5日にプロ野球の開幕戦が行われた。開催にこぎつけるまでに台湾と韓国はどのような準備を進めたのか、そして試合はどのように行われているのか取材した。

韓国 44ページもの感染対策マニュアル

日本と同じ「こどもの日」にあたる5月5日に開幕した韓国のプロ野球。しかし、例年と比べ様子は一変している。審判はマスクをして、手袋を着用。ボールボーイもマスク姿。ホームランのあと、喜びを分かち合う定番のシーンでも、選手たちの出迎えはなく、ハイタッチも禁止。

そして何より、球場にファンの姿がない。当面は、無観客試合が続く見通しだ。いつもの盛り上がりはないものの、選手からは、まずは開幕したことに前向きな声が聞かれた。

LGツインズ キム・ヒョンス(金賢洙)選手

LGツインズ キム・ヒョンス選手

「開幕し、野球ができてうれしいです」

KBOのマニュアル

シーズン開幕にあたり、 KBO=韓国野球委員会は、専門家の指導のもと、新型コロナウイルスへの対応をまとめたマニュアルを作成。44ページにおよぶマニュアルには、選手や球団関係者、スタッフなどが取るべき対応が細かく記されている。

KBOのマニュアル

例えば、球場での動線。選手たちは球場の入り口からロッカールーム、そしてベンチまでのルートが決められている。関係者の動線を分けることで、相手チームとの接触を最小限に抑えるのが狙いだ。さらに球場の近くでPCR検査が受けられる場所のリストもある。

こちらはマニュアルの一部を翻訳したもの。「感染しないための対策」だけでなく、「感染者が出た場合の対応」も明記されている。

KBO=韓国野球委員会リュ・デファン(柳大桓)事務総長

「ある程度、新型コロナウイルスの状況は安定してきましたが、今後どうなるかは分からないので、準備が必要です。もし選手が感染した場合には、最低でも3週間程度は、試合を中断しなければなりません」(KBOリュ・デファン(柳大桓)事務総長)。

開幕も“無観客試合”が経営に打撃

シーズン開幕は明るいニュースだが、一方で、無観客試合は球団の経営面に暗い影を落としている。昨シーズン(2019年)の入場料収入はリーグ全体で約75億円。観客を入れられない期間が長引くほど経営への打撃は大きくなる。KBOのリュ事務総長は今シーズンの売り上げが30%から40%減少するとみている。こうした中、アメリカのスポーツ専門チャンネルと契約。まだ大リーグが始まっていないアメリカでの放送に活路を見いだそうとしている。

さらに、オンラインでのイベントを通じて新たなファンの獲得も目指し、収入の確保につなげようと、模索を続けている。

台湾 “無観客”から“有観客”へ

一方の台湾では韓国よりも早く、4月12日に無観客の形でプロ野球が開幕した。

中央感染症指揮センター指揮官 陳時中(ちん・じちゅう)氏

その後、渡航歴がない人の感染ゼロが20日以上続いたため、感染の抑え込みができていると判断。中央感染症指揮センターの指揮官、陳時中(ちん・じちゅう)氏は「プロ野球は5月8日から観客を入れるが、1,000人を最初の一歩とする」と会見で述べ、今月8日から観客を入れることが決まった。

観客の受け入れに向けて、プロ野球連盟、球団、そして当局が一体となって感染防止対策に取り組んだ。まずは座席の間隔を空けることを徹底。チアリーダーと1列目の客の距離を大きくとるために、座席2列分を空けている。

確実に観客どうしの距離をとるため、シールが貼ってある場所にしか座れないようにした。左右に二席ずつ、前後は一列ずつ空けてある。球場の通路にも、間隔をあけて並ぶようにシールを貼った。

右:視察する新北市の自治体の幹部(5月7日)

感染対策を指揮する自治体幹部による球場の視察も。「トイレのペーパータオルを増やし、手の消毒用アルコールをもっと置いてください。そして万全に準備してください」と、感染対策について細かく指示した。

有観客試合初日(5月8日)

そうして迎えた観客を入れての試合初日。球場の入り口は少し物々しい。入場者たちは検温に加え、感染が確認された場合に連絡がとれるよう、渡航歴や健康状態の申告、それに本人確認のためにIDカードの提示も求められた。

食べ物の販売は禁止、家族や友人とでも離れて座る。少し興ざめかと思いきや――

試合が始まると、スタンドは熱気を帯びて総立ちに。チアリーダーに合わせて、観客も一緒に踊る台湾流の応援が戻ってきた。

マスク着用が義務付けられているため観客はみなマスクをつけている。しかし、すでに夏のような季節の台湾でマスク着用での応援はかなりきついようだ。

高田和加子台北支局長

マスク着用による不快感もなんのその。久しぶりに試合を目の前で見られるファンたちは、興奮さめやらない様子だった。

左:ファン① 右:ファン②

ファン①

「家ではめちゃくちゃに叫ぶことができないでしょ?球場だったら、どれだけ大声出しても誰も気にしない。
とてもストレス解消になります」

ファン②

「この日を首を長くして待っていました。感染防止に取り組む人たちに感謝します」



日本のプロ野球開幕は?

そして気になる日本のプロ野球の開幕。NPB=日本野球機構は、韓国や台湾からマニュアルを取り寄せて、参考にしながら、開幕に向けた独自のガイドラインの作成を進めている。また、各球団は移動の際、外部との接触リスクを減らすため、飛行機をチャーターしたり、新幹線の車両を貸し切りにしたりすることを検討しているとも報じられている。プロ野球は来月(6月)半ばから下旬の開幕を目指す方針だ。

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