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特集

2020年4月24日(金)掲載

新型コロナ対策巡り深まる“アメリカ分断”

新型コロナウイルスの感染拡大をどう抑えるか、同時に経済をどう再生させるか、難しい状況が続いているアメリカ。トランプ大統領は、先月(3月)国家非常事態宣言を出したほか、大規模な経済対策を次々と発表するなど、11月に行われる大統領選に向けて、自らの指導力を国民にアピールする機会にもなっている。しかし、アメリカ国民の間では「トランプ大統領支持か否か」で二極化が進んでいる。

会見を重要視し始めたトランプ大統領

2020年4月7日 ホワイトハウス トランプ大統領

連日、ホワイトハウスで記者会見に臨むトランプ大統領。新型コロナウイルスによって、全米各地での大規模な集会が行えなくなったいま、ホワイトハウスから中継される会見が、国民にメッセージを送る場として重要性を増している。
そもそもコロナ危機の前は、ホワイトハウスのこの記者会見場でトランプ大統領が会見に臨むことは、ほとんどなかったのだ。

トランプ大統領
4月7日
「私は、この国の“チアリーダー”だ」

4月10日
「経済活動再開!健康!どちらも実現可能だ!」

今月(4月)13日に行われた記者会見では、突然、フロリダ州知事やアリゾナ州知事による「トランプ大統領は、すばらしかった」、「我々の要請を受け入れて大規模災害に認定してくれた」といった、トランプ大統領へ感謝の念を伝えるビデオメッセージを披露。トランプ政権の対応の遅れを問いただした記者には激しく非難する姿を全米に向けて中継した。

トランプ大統領
「君は、そんなこと言って恥ずかしくないのか。自分がフェイクだと分かっているだろう?君のテレビ局も、報道もフェイクだ!」



会見を心待ちにする人も

バリー・フェタロルフさん

外出制限で家に留まる人のなかには、この会見を見ることを心待ちにしている人もいる。南部フロリダ州に住むバリー・フェタロルフさん(69)。共和党支持者のフェタロルフさんは「この状況下において、彼の努力、そしてそのスタミナは称賛に値する」とトランプ大統領を高く評価している。

フロリダ州

フロリダ州では、先月(3月)から感染拡大が深刻化している。感染者、死者ともに増加に歯止めがかからず、今月(4月)には全域で外出制限令が出された。フェタロルフさんは、「私は退役軍人だが、この状況は経験したこともなく、どうすればいいのかわからない」と不安が募るばかりだという。こうした事態だからこそメディアはトランプ大統領に、より協力的になるべきだと考えている。「このような未曽有の危機に立ち向かっている彼を攻撃するなんて見ていられない。みんな政治は脇に置いて、彼の努力を支持すべきだ」(バリー・フェタロルフさん)



一方で高まるトランプ大統領への不信感

しかし、国民のあいだで評価は割れている。感染の拡大後、トランプ大統領の支持率は一時、過去最高の50%近くまで上がったが、その後、低下。2001年の同時多発テロの直後、当時のブッシュ大統領の支持率が90%前後にまで跳ね上がったのとは対照的だ。

ロバート・レズニックさん

トランプ大統領の会見を冷ややかに見ている一人、ロバート・レズニックさん(53)。「彼がやっているのは『選挙集会』だ。うんざりさせられるし、非難されるべきだ」と怒りをあらわにした。そして、レズニックさんが会見の中で、最も問題だと感じているのは、専門家の意見を軽んじるかのような態度だという。「私は専門家の意見を聞きたいのに、トランプ大統領は彼の発言を制止してしゃべらせない。治療薬に関し、自分と正反対の見解を示してほしくないからだ」(ロバート・レズニックさん)

トランプ大統領の対応に反発する声が広がっている。テレビ局に会見の生中継をやめるよう求める署名活動が始まり、半月ほどで、すでに30万人以上の署名が集まっている。今のアメリカの状況に対し専門家は「共和党、民主党の双方の支持者の間には、深い不信感がある。アメリカ国民は、皆この危機の解決を望む思いは共通している。しかし、この危機はこの4年で生まれた“アメリカの分断”をより深めるだけになるだろう」と分析している。

トランプ大統領の対応に、評価が大きく割れるアメリカ社会。危機が去ったとしても、そのしこりは残り続けることになりそうだ。

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