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特集

2020年3月19日(木)掲載

地球温暖化対策!海運業界でもCO2排出量ゼロへ

世界各国で広がる地球温暖化対策。海上でも、温室効果ガスの排出を削減する機運が高まっている。IMO=国際海事機関は、おととし(2018年)、2008年に比べて船の燃費の効率を2030年までに40%改善するという目標を採択した。さらに、温室効果ガスの排出量は、今世紀半ばまでに少なくとも50%減らし、できるだけ早く排出量をゼロにすることを目指すことも盛り込んだ。この目標を受けて排出削減に向け動き出した海運業界の取り組みを取材した。

世界で開発相次ぐ“温暖化対策船”

「ローターセイル」

地球温暖化への意識の高まりを背景に、世界各地の海運業界では、自然の力を利用する技術開発が相次いでいる。
フィンランドに拠点を置くベンチャー企業が開発したのは、貨物船の甲板に設置する「ローターセイル」と名付けられた高さ18メートルの柱状の「帆」。これを利用することで、平均して年間5%ほどの燃費向上につながるという。

物理現象「マグナス効果」

柱状の帆がなぜ燃費向上を可能にするのか。その秘密が、「マグナス効果」と呼ばれる物理現象だ。柱を回転させることで船の側面から受ける風を“前に進む力”へと変えるという。船長は「役立つのはわずかかもしれないが、“ちりも積もれば山となる”」と環境保護にもつながると語る。

さらに、フランスに拠点を置く企業は、全長136メートルの巨大な帆船の開発を進めている。エンジンの動力に加えて風の力を利用することで温室効果ガスの排出を大幅に削減できるとして、来年の完成を目指している。



世界初!“エネルギーを自給自足”

「エナジー・オブザーバー号」

エネルギーを“自給自足”する次世代の船も実現している。
フランス北西部のサンマロ港。元ヨットレーサー、ビクトリアン・エルサールさんらがレース用のボートを改造してつくった、一切、温室効果ガスを排出しない「エナジー・オブザーバー号」だ。

船体の至る所には、太陽光パネルがあり―

風力を推進力や電力に変える「帆」も搭載している。

トヨタ 燃料電池車「MIRAI」の電池

この船の最大の特徴が、水素を活用する技術だ。船にトヨタの燃料電池車「MIRAI」の電池を積み、水素から電気を作り、船の動力源にしている。
利用する水素は海水から取り出す。その工程で使う電力は、太陽光や風力で賄う。水素と太陽光、風力を組み合わせることで、航海を続けられるだけでなく、ナビゲーションシステムからシャワー室やキッチンなど船内で必要なエネルギーすべてを得ることができるという。
エルサールさんの乗っている「エナジー・オブザーバー号」は今月(3月)、フランスを出航した。4年かけて世界を回り「排出ゼロ」の技術の実証とPRを行うのが狙いだ。当初はことし7月のオリンピックの開幕にあわせて日本に到着するのを目指していたが、延期を受けて予定を変更。日本行きは来年にしている。「この航海でメディアや企業、市民、政策などがひとつになることだろう。水素を利用して世界中を航海してみせることで、この技術の普及につなげたい」(ビクトリアン・エルサールさん)。

動画をご覧ください↓





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