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特集

2020年1月10日(金)掲載

台湾ウォッチ第2回 注目は“もう1つの選挙”

いよいよ今週末(1月11日)に迫った台湾の総統選挙。激しい選挙戦が繰り広げられる一方、“もう1つの選挙”の行方にも関心が高まっている。台湾情勢を長年取材してきた松田キャスターがポイントを解説する。

注目の議会選挙 ねじれになるか?

台湾の議会 立法院

台湾で総統選挙と同時に行われ、政権運営の重要な鍵を握るのが議会・立法院の選挙だ。前回、4年前は民進党が立法院の定数113のうち初めて単独過半数となる68議席を獲得。一方の国民党は29議席減のわずか35議席にとどまる大敗を喫した。1996年に直接選挙が導入されて以降、総統選挙で政権交代があっても立法院は一貫して国民党が主導権を握ってきただけに大きな衝撃をもって受け止められた。今回、仮に与党・民進党の現職、蔡英文総統が再選したとしても、民進党が立法院で過半数を占められず「総統と議会のねじれ現象」が生じれば、蔡氏は不安定な政権運営を余儀なくされる厳しい立場に追い込まれる。

2019年12月31日 「反浸透法案」を可決した立法院の議場

実際、立法院では去年12月31日、中国を念頭に海外の敵対勢力から指示を受けたり、資金援助を受けたりした個人や団体が政治献金することや選挙で特定の候補を支援することなどを禁止する法案「反浸透法案」を民進党主導で可決。違反した場合は最高5年の懲役など重い罰則規定も盛り込まれた。蔡総統と民進党としては、投票直前に新たに法律を制定することで選挙への介入が懸念される中国をけん制するとともに有権者に強い姿勢をアピールし、立法院の選挙でも勝利を目指す戦略だ。



最後まで何が起こるかわからない総統選挙

過去6回、いずれも中国との関係が大きな争点になり、中台関係だけでなく、東アジアの安全保障や国際情勢に影響を及ぼしてきた総統選挙。

1996年3月23日 投票する李登輝氏と夫人

1996年、直接選挙で初めて行われた際には、政治体制の民主化を進める台湾に対し、中国は「独立に向けた動き」として台湾近海に向けてミサイルを発射するなど大規模な軍事演習を繰り返すと、アメリカは台湾海峡に空母2隻を派遣。緊張が高まり、中国が国際社会から厳しい批判を浴びる一方、選挙は中国に屈しない姿勢を強調した李登輝氏が過半数の票を獲得して圧勝した。

2004年3月20日 投票する陳水扁氏と夫人

2004年には激しい選挙戦が続くなか、投票日の前日に当時の与党・民進党の陳水扁総統が銃撃されるという衝撃的な事件が発生。しかし、翌日の投票は予定どおり行われ、陳氏がわずか0.2パーセント、約3万票の僅差で再選を果たした。
一時は立候補さえ危ぶまれた蔡氏の支持率が急回復するなど、今回も劇的な展開が続く総統選挙がどのような結果となるのか注目だ。

<月曜~金曜 午前8時00分~午前8時50分(再放送:午前11時00分~午前11時50分)BS1「キャッチ!世界のトップニュース」で放送したキャスター解説の内容に加筆して掲載します>



経歴紹介

国際部を経て広州支局、香港支局で勤務。前回(2016年)の台湾総統選挙を現地で取材し、中継やリポートを担当。このほか、香港の議会にあたる立法会選挙や長期化する抗議活動、中国の共産党大会と全国人民代表大会など中華圏の政治、経済、社会の最前線を見つめてきた。

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