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特集

2020年1月7日(火)掲載

ウズベキスタン 隠れた観光名所 “地下宮殿”

世界で最も美しい地下鉄のひとつともいわれているウズベキスタンの首都タシケントの地下鉄。ある理由によって撮影が禁止されていたため、隠れた観光スポットであった。しかし、2017年、大統領の肝いりで動き出した観光客誘致で、今、新たな観光スポットとして注目されている。

庶民の足“豪華けんらんな地下鉄”

ウズベキスタンの首都タシケント。庶民の足である地下鉄は、旧ソビエト時代の1977年に開通した。東西冷戦のもと、国威発揚のため中央アジアの技術、芸術、文化、そして富を注ぎ込み、巨大な芸術作品ともいえる地下鉄を建設した。現在3路線29か所の駅があり、1日23万人が利用し、人々の生活を支えている。構内は各駅ごとに、独自のテーマを持って作られ、様々なデザインを楽しめるようになっている。

その一方で、テロ対策のため、改札口では手荷物検査が行われるなど厳重な警戒態勢がとられ、物々しい雰囲気に包まれている。かつてこの地下鉄は核シェルターの役割も担っていたため、軍事施設として構内での撮影が禁止されていた。しかし、「観光立国」を目指す国の方針によって、3年前に撮影が解禁された。観光シーズンには、特徴あるデザインの駅を巡る観光ツアーや、構内でコンサートなどのイベントが開催されている。

地下鉄に込めた思い

セルゴ・スチャーギンさん

当時、地下鉄の建設に関わったセルゴ・スチャーギンさん。国内外の大型施設を手がけてきたウズベキスタンを代表する建築家だ。

ウズベキスタンの夜空と宇宙

セルゴさんがデザインしたコスモナフト駅のテーマは、ウズベキスタンの夜空と宇宙。タシケントの地下鉄を代表する作品の一つだ。「子ども時代、草の上に寝転がって夜空を見上げていた。そして限りない宇宙の魅力と、その神秘に惹かれていた」(セルゴ・スチャーギンさん)。

旧ソビエトの宇宙開発を象徴する英雄達


壁には、世界初の有人宇宙飛行を行ったユーリ・ガガーリン氏など、旧ソビエトの宇宙開発を象徴する英雄達が描かれている。

クリスタルガラスでできた柱

セルゴさんは「最も難しかったのは柱の部分で、クリスタルガラスを作るのは大変だった」と当時を振り返った。クリスタルガラスでできた柱は、表面を銀で覆って輝きを増す加工がほどこされ、宇宙にほとばしるエネルギーを表現しているという。「この駅は古びることなく、私がいなくなった後も、今のように魅力的でありつづけてほしい」(セルゴ・スチャーギンさん)。

ウズベキスタンの新たな魅力を世界へ

国民に愛されている中世の詩人

アリシェル・ナボイ駅のテーマは、国民に愛されている中世の詩人。

その詩の世界観に浸ってもらおうと、去年8月、読書スペースが設けられた。地元の高校生は「15世紀から16世紀の雰囲気を感じ、とても居心地がいい」と毎日のように利用しているという。また、地下鉄の広報担当者は「この地下鉄は単なる交通手段ではなく、人々に文化を届け、進化させる原動力だ」とその魅力を語った。
開通から40年以上を経て、首都タシケントの地下鉄は“知る人ぞ知る”存在から“開かれたウズベキスタン”の象徴として新たな魅力を発信している。

美しい地下鉄の動画をどうぞ↓

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