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特集

2019年10月15日(火)掲載

インドの“脱プラごみ” どこまでいける?

インドを訪れたことのある人なら目にしたことがあるかもしれないが、町中にゴミがあふれていることがしばしば。特にプラスチックごみは、人口の急増や経済成長に伴い深刻な問題になっている。モディ首相は2014年の就任時から重点政策として「きれいなインド」を掲げ、国を挙げて改善に取り組んでいる。目標は大胆にも『2022年までにプラスチック袋などの使い捨てプラスチック製品全面禁止』だ。国の方針に先取りして去年からムンバイで実施されているプラごみ対策に密着。インドでのプラごみ削減の現状を取材した。

プラ製品に罰則 意識改革で目指せ“脱プラ”

インド西部の街、ムンバイ。約2,000万人が暮らす巨大な商業都市だ。しかし、発展の象徴の高層ビルをのぞむ海岸を歩くと、置き去りにされたゴミが放置され、小高い丘のようになっていて、辺りは鼻をつく臭いが立ちこめていた。ここムンバイを含むマハラシュトラ州では、去年6月、全面的に使い捨てプラスチックを禁止する措置が始まった。

規制の対象となっているのは、プラスチック製のレジ袋、スプーンやフォーク、小さいペットボトルなど。使用だけでなく製造も禁止。違反すると企業や店だけでなく、一般の人も処罰の対象になる。1回目の違反で5,000ルピー、日本円で8,000円近い罰金が科せられる。違反が3回以上になると罰金が5倍になり、3か月の禁錮刑も科せられるという。

禁止後は、布製のエコバッグを持つ人が増えるなど、市民の間に環境対策への意識も芽生え始めている。買い物に来た女性は「布の袋を持って歩くのは当然のこと。排水溝にプラスチックごみがつまると水があふれ、家が水浸しになることもある」と語った。

脱プラ賛成という男性からはインドならではの感想も。

「神聖な牛がプラスチックを誤飲しないよう、プラスチックが禁止されてよかった」

またプラスチックごみを拾うイベントも、インド全土で定期的に行われている。この日、ムンバイの大学で開かれたイベントには900人以上が参加した。

イベントに参加した学生
「校内にこんなに大量のプラスチックがあるのに驚いた。我々の世代が、プラスチックの削減とリサイクルを進めることが大切だと思う」



政府が規制強化するが…

一方で、規制の徹底は容易ではない。市場では、カットした新鮮な果物をプラスチック製の袋に入れて販売している。

州の規制では、食品を包むプラスチック製の袋は厚手のものに限られている。耐久性が高く、リサイクルしやすいからだ。ところが、薄手の袋を使う店が少なくないという。店主の1人は「厚手の袋は値段が高く、我々が買える範囲を超えている。禁止するのはいいが、その前に代わりをどうするか決めるべきだ」と怒りをあらわにした。
施行から1年あまり。業界団体は、プラスチック製品の全面禁止は現実的ではないと訴えている。「代替品がない状況で、すべて禁止されたらコストへの打撃は想像もつかない。プラスチックを適切な方法で使用することが正しい解決策だと思う」(インド小売業協会の幹部)

プラスチックごみとの闘いに乗り出したインド。しかし、そこには手放しがたい便利さや手軽さに加え、コストの増加など経済面とどう両立させるのか、大きな壁が立ちはだかっている。

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