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特集

2019年9月25日(水)掲載

広がる森林火災 アマゾンで何が!!

南米のアマゾンで続く記録的な森林火災。今年は、去年の同じ時期の1.5倍にあたる約10万件も発生している。アマゾンの熱帯雨林は、大量の二酸化炭素を吸収して地球の酸素の約20%を生み出していて「地球の肺」とも呼ばれている。それだけに、焼失が進むと地球温暖化も加速すると懸念されている。アマゾンの森林火災、その背景と影響とは。

黙認されていた野焼き

ブラジル内陸部の都市、ポルトべ―リョ。ブラジル政府が、森林火災の消火拠点を置いている。

アマゾンの保護を担う軍の施設では、13機の衛星を使い、ブラジル全土の森林火災の情報を一手に管理。刻々と変わる火災の状況を分析している。地図上に、気温の高い地区が示され、火がどこまで広がっているかを予測している。

火災は、森林の中を走る道路沿いに集中していることが分かる。

その現場のひとつ、街の中心部から2時間ほど離れた、かつては森林だった場所。至る所に焼けた跡があり、まだ燃えている所もある。こうした森林火災は、畜産農家による違法な野焼きが増えていることが原因だといわれている。ブラジルでは、これまで牛の放牧地を開墾したり、農地を開拓する目的の野焼きは、ある程度までは黙認されていたのだ。しかし、ここにきて急激にその規模が広がったことで、影響が深刻化している。

森林火災の影響は至る所に

ジェズイナ・ブラガさん

森林火災が自宅の近くまで迫り、財産を失う人もでている。ブラジル北部、アクレ州で農業を営んでいるジェズイナ・ブラガさん。8月、自宅近くで発生した森林火災で、所有するマンゴーなどの果樹園だけでなく、動物の小屋にも広がり、にわとり100羽など家畜のほぼ全てを失ったという。「とても悲しい。全部なくなってしまった。動物も、飼育していた動物も、生産した農産物も、これから建てようとしていた家も失った」(ジェズイナ・ブラガさん)。

被害はアマゾンの貴重な生態系にも及んでいる。アクレ州にある野生動物保護センターでは、この日、森林でやけどを負って保護されたナマケモノの治療が行なわれていた。医師によると、ナマケモノなど動くのが遅い動物は避難するのが難しいと話す。

治療している動物は、オウムやサル、ジャガーまで20種類の50匹。数が多すぎるため、臨時のおりを増設して、しのいでいる。「さまざまな種類の動物が火災の被害を受け、保護した動物の数は例年の3倍以上にのぼる」(野生動物保護センターエライニ・オリベイラ研究員)。

拍車をかけたブラジル大統領の経済重視発言

ボルソナロ大統領

被害が拡大しているにもかかわらず、止まらない違法な野焼き。拍車をかけたと指摘されているのが、ブラジルのボルソナロ大統領の発言だ。

ボルソナロ大統領
「国土の半分以上を保護区域にしているなんて耐えられない。経済発展の妨げになる。」

ボルソナロ大統領は、アマゾンを重要な経済資源と位置づけ、積極的な開発を国民に呼びかけてきたのだ。そうした大統領の言葉に触発され、畜産農家らが開墾地を広げようとした結果、野焼きが増えたとみられている。野焼きを目撃した農民は「ボルソナ政権への交代が火災発生の大きな要因だと思う。たくさんの仲間が今、野焼きで土地を広げるチャンスだと言っている」と語った。

森林保護か開発か 国際社会から厳しい目も

マウリシオ・バルボアさん

畜産農家はなぜ野焼きを続けてきたのか、一件の農家が取材に応じた。畜産業を営むマウリシオ・バルボアさん。牧草地を含む75ヘクタールの森林を所有している。収入は、月に8万円ほどで、一家4人で生活できるぎりぎりの額だという。収入を増やすためには、野焼きをして牧草地を広げるしかないと考えている。「アマゾンを守ろうって、森林はお金にならないんだ。子供に1リットルのミルクも買ってやれない。ボルソナロ大統領を尊敬する。彼にまた投票すると思う」(マウリシオ・バルボアさん)。
畜産農家に支持される形で開発を優先する態度を示してきたブラジル政府。しかし、国際社会の批判にさらされ、8月から、大がかりな消火活動に乗り出している。ボルソナロ大統領は、軍の7000人を動員し、違法な焼き畑農業の摘発も行っている。しかし、依然として野焼きが横行し、消火が追いつかない状況だという。
地元の人々の生活を成り立たせながらアマゾンの森をどう守るのか。地球規模の課題となっている。

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