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特集

2019年9月20日(金)掲載

アメリカで広がる白人至上主義 過激化の背景とは

移民への攻撃的ともいえる言動を繰り返すトランプ大統領のもと、アメリカでは、人種や宗教への差別がより激しくなっている。なかでも、白人至上主義者は新たな団体を立ち上げ、メンバーが急増。ネットで憎悪をあおり、銃撃事件を起こすなど過激化している。アメリカ社会の深層で、いま何が起きているのか。

“人種差別主義者は帰れ!”

アメリカでは近年、白人至上主義団体が公然と集会を開き、これに抗議する市民との間で、たびたび摩擦が生じている。極右思想を掲げる男性は「我々は、愛国者なだけだ」と強く主張した。

2017年には、白人至上主義者の団体が全米から南部の都市に集結。差別に抗議する人たちもつめより現場は騒然とする中、白人至上主義団体のメンバーが突然、銃を取り出し、実弾を発砲し威嚇した。
アメリカでは今、こうした差別的な思想を持つ人たちの言動が先鋭化している。白人至上主義者による銃撃事件などで、命を落とした人は、去年1年間で39人に上り、前の年と比べて倍増している。



ネット掲示板が憎悪をあおる場に

その背景にあると指摘されているのが、匿名のネット掲示板「8chan(エイト・チャン)」だ。ことし3月、ニュージーランドでイスラム教の礼拝所を銃撃し、51人が死亡した事件を起こした男や、4月に、カリフォルニア州のユダヤ教の礼拝所で銃を乱射した男。さらに、8月には、テキサス州で銃を乱射した男が、このネット掲示板に犯行声明を書き込んでいたとみられる。そこには、犯行を称賛するようなコメントも相次ぎ、憎悪をあおり、白人至上主義者の過激化を後押しする場となっていたのだ。



勢力を拡大する白人至上主義 “われわれは闘い続ける”

こうしたネット上の差別的な声を吸い上げて、勢力を拡大している白人至上主義団体がある。ことし活動を始めたばかりにも関わらず、“アメリカを白人中心の国家にしたい”と訴え、メンバーはすでに500人あまりに急増。その多くが若者だという。「若い人たち、特に大学生は、我々の意見に賛同してくれやすい。知識がある人ほど、本当に教えられてきたことが正しいのかと、疑問を持ち始めている」(パトリック・ケイシー代表)。

代表が団体を設立したきっかけは、前回の大統領選挙でトランプ大統領の演説を聞き、移民が増えていることで、白人の存在が脅かされていると感じたからだという。

パトリック・ケイシー代表

「トランプ大統領の発言は、人を奮い立たせている。トランプ大統領の訴えを完全に支持している」

専門家は、トランプ大統領が繰り返し使う差別的ともとれる言葉が、白人至上主義者たちの過激化を促している側面があると指摘する。「我々の大統領は、移民問題について語る時、暴力的で、非人道的な言葉を使うが、そうしたことが繰り返されると、その社会の人々も暴力的な言葉を使うようになり、最終的には実際の暴力につながっていくのだ」。



差別のない社会を願って

一方、若者たちに、白人至上主義が広がるのを防ごうと活動する人もいる。

スーザン・ブローさん

2年前、白人至上主義者の暴力によって娘ヘザーさんの命を奪われたスーザン・ブローさん。

娘 ヘザーさん

白人至上主義団体の集会に抗議していたヘザーさんたちに、当時、20歳の白人至上主義者の男が車を暴走させて突っ込んできたのだ。ブローさんは「娘のヘザーは、この町に憎悪の居場所はないという意思を示そうとしていたと思う」と悲痛な思いを語った。

“娘のような犠牲者をもう2度と出したくない”

ブローさんは、過激な思想の広がりをくい止めようと各地で訴えている。そして、今、最も力を入れているのが、白人至上主義の思想に染まりやすい若者への働きかけだ。娘の名前をつけた基金を立ち上げ、差別をなくす活動をしている学生に奨学金を贈り続けている。

スーザン・ブローさん
「活動する若者を勇気づけ、支援していくことで、差別による犯罪を減らしていけると思う。私たちは一刻も早く行動しなければならない」

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