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特集

2019年9月6日(金)掲載

ラオス伝統のお酒「ラオラオ」で村おこしを!

沖縄の泡盛のルーツのひとつとも言われているお酒が、東南アジアのラオスにある。その名も「ラオラオ」。もち米を使った蒸留酒で、地元の人にこよなく愛されている。しかし、アルコール度数が50度もあり、その強さもあってか、外国人観光客にはなかなか買ってもらえない。こうした中、日本のJICA=国際協力機構が協力し、ラオラオを新たな観光の呼び物にして村おこしにつなげようというプロジェクトが動き出している。日本人観光客も多く訪れるラオスで始まった、ラオラオのプロジェクトを取材した。

アルコール度数50度!観光客の評判は?

ルアンプラバン

ラオス北部のルアンプラバンの中心部には、多くの寺院やフランス植民地時代の住宅が建ち並び、美しい街並みが広がっている。1995年には世界遺産に登録され、海外からも多くの観光客が訪れる。しかしその恩恵は周辺の農村部には十分、行き渡っていないのが実情だ。

サンハイ村

ルアンプラバンの中心部から約20キロ離れたサンハイ村は、古くからラオラオ作りが盛ん。訪れる観光客も少なくない。しかし、観光客の間で、ラオラオの評判はというと…。フランスから来た男性観光客は一口飲んで、「強すぎて、ちょっと…」と飲むのをやめた。日本から来た男性観光客も「ちょっと度数が高いですね。口の中で燃えているような感じがします」となかなか2杯目に手は伸びなかった。



日本も協力!“ラオラオ村おこしプロジェクト”

こうした中、何とかラオラオを売り込めないかと、地元のルアンプラバン県と、日本のJICA=国際協力機構が協力し、新たなプロジェクトが始動した。

舩坂酒造店の社長 有巣弘城さん

プロジェクト視察のため村を訪れたのは、有巣弘城さん。岐阜県の観光地、飛騨高山にある酒蔵会社の社長だ。有巣さんは、酒造りの現場を訪ね歩き、まず、考えたのが、ラオラオを使った新商品の開発だ。

高いアルコール度数のラオラオを飲みやすくできないかと考えた有巣さん。高山では、日本酒をゆずなどのジュースで割って飲みやすくした商品を作っていることから、ラオラオでも同じようにジュースで割って飲みやすくした商品を開発したらどうかと考えている。そこで、まずは、日本酒をジュースで割った高山の商品を村の人たちに飲んでもらい、感触を探ることにした。すると…。

試飲した村の男性たちは口々に「おいしい」とグラスを飲み干した。村の女性も「甘くて、香りがよくて、スッキリしている」と、その味に舌鼓を打った。



課題は衛生面の改善

ラオラオの蒸留の様子

一方、視察を進める中で、有巣さんが気になったのがラオラオを作っている環境の衛生面。囲いもない屋外で酒造りが行われていて、海外からの観光客には抵抗があるのではないかと感じたのだ。

日本では、蔵の見学や試飲を楽しんでもらう体験型の観光で集客に成功し、併設するレストランや土産物の売り上げにつなげている有巣さん。サンハイ村でも、衛生面を改善すれば、酒造りの様子を公開し、集客につなげられるのではと期待している。

視察を終えた有巣さんは、村の人たちを前に「みなさんはもっと環境に気をつけなければいけないと思っています」と述べ、あえて厳しいことばを投げかけた。そんな有巣さんの言葉は、村の人たちの心に、しっかりと届いた。

ラオラオを製造・販売しているソンブーンさん

村でラオラオの製造と販売をしているソンブーンさんは、収入を増やしたいと、酒の販売コーナーの隣にカフェスペースを建設中だ。有巣さんの指摘を受け、さっそく衛生面の向上に取りかかりたいと言う。「ラオラオの製造スペースにセメントの床や囲いを作って、清潔でより品質の高い商品を作っていきたい」(ソンブーンさん)。

舩坂酒造店の社長 有巣弘城さん

有巣さんも次のように話し、ラオスの未来に期待を寄せる。「日本の技術を単純に入れ込むっていうことでは、ラオスの特徴がなくなってしまうと思うので、ラオスの特徴は残しつつ、我々の古来から続く製法も取り入れて、ラオスに合った形に仕立てられればいいのかなと思っています」。プロジェクトでは、来月(10月)、数人のサンハイ村の村人を飛騨高山に招いて、日本酒の製造現場を見学してもらうなどの研修を行う予定だ。ラオスの伝統酒を新たな呼び物にできるか、日本のノウハウが注目されている。

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