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特集

2018年12月25日(火)

ロシアの“兄弟国家”ベラルーシに変化!?

 
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ベラルーシ ルカシェンコ大統領
「プーチン大統領は、ニワトリのようにこの地域を歩き回って力を誇示しているだけだ。」

酒井
「絶大な権力を誇る、ロシアのプーチン大統領にたてついているのは、ロシアの隣国、ベラルーシのルカシェンコ大統領です。」
旧ソビエトのベラルーシは、ロシアと民族的にも近い、親ロシアの国です。
ロシアとの間で、将来、政治や経済で統合を目指す条約を結んでいるだけでなく、軍事面でも集団安全保障条約を締結しています。」

花澤
「そのベラルーシを24年にわたり率いるのが、ルカシェンコ大統領です。
親ロ国家でありながら、プーチン大統領に強気の姿勢を見せるのはなぜなのでしょうか。」

“親ロ国家”ベラルーシ ロシアにたてつく理由

リポート:松尾寛支局長(モスクワ支局)

今月(12月)、ロシアで開かれた首脳会議です。
カザフスタンやアルメニアなど、旧ソビエトの首脳たちが協力関係などについて話し合いました。
この中でひときわ目立ったのがベラルーシのルカシェンコ大統領。
ロシアへの不満を、プーチン大統領を前に、まくし立てたのです。

ベラルーシ ルカシェンコ大統領
「われわれは同盟国なのに、(ロシアの)天然ガスを高く買わされている。」

ロシア プーチン大統領
「まあまあ。
この話は2人の個人的な場で議論しよう。」

経済をロシアに大きく依存するベラルーシ。
公の場での批判の背景には、低迷するロシア経済のあおりを受けていることへの強い不満があります。

さらに、4年前、ロシアがウクライナのクリミア併合を強行したことが不信感を高めました。
ベラルーシは経済でも安全保障でも、ロシアだけに依存するのは危険だと感じ、距離をとろうとしているといいます。

政治学者 マカルキン氏
「ベラルーシにとってロシアは経済関係が深い同盟国だが、一方で脅威ともなる二面性があるのです。」


なぜ中国に急接近

そのベラルーシが新たなパートナーの1つとして選んだのが、中国です。

松尾寛支局長(モスクワ支局)
「ベラルーシと中国の合弁でできた、産業団地です。
ここには20を超える中国企業が進出しています。」

首都ミンスク郊外にある産業団地です。
100平方キロメートルの広大な敷地に、ディーゼルエンジンの製造工場など、中国を中心に8か国の企業が進出しています。
ヨーロッパにつながる「一帯一路」計画を推し進めたい中国と、新たな外交パートナーを探していたベラルーシ側の思惑が一致。
3年前に完成しました。

産業団地運営会社 ヤロシェンコ代表
「私たちにとって、中国は戦略的なパートナーです。
この計画はベラルーシにとって経済の発展に大きく、そして明るい展望を持たせます。」

産業団地運営会社 胡代表
「ベラルーシは一帯一路のルート沿いにある重要な国です。
この産業団地の建設で、一帯一路の協力関係を具体化できるのです。」

さらにベラルーシは、中国と軍事的な連携も強化しようとしています。
7月には中国軍を招いた大規模なパレードを実施。
中国から最新のミサイルなど、兵器も購入しました。

ルカシェンコ政権の外交政策の要、マケイ外相は、しがらみの多いロシアとは異なり、中国とは対等な立場で関係を築ける可能性があると期待を示しました。

ベラルーシ マケイ外相
「中国はこの先も、私たちにとって重要な貿易・経済パートナーであると思う。
その理由は、中国が我々との貿易・経済活動に、政治的な要求や苦情を結び付けないからだ。
中国は我が国の経済発展や主権、独立性強化のために非常に重要だ。」


なぜ中国に?

酒井
「取材にあたっている、モスクワの松尾支局長に聞きます。
ロシアと友好関係にあったベラルーシが今、中国に接近しているのはなぜなのでしょうか?」

松尾支局長
「外交でも経済関係でも、ロシア一国だけに偏るのは危険だと感じているからです。
ベラルーシは、4年前のクリミア併合で、ロシアがウクライナに対して振るう力の脅威をまざまざと見せつけられました。
次は自分の番だと恐れたはずです。
そのリスクを回避するためにも、新たなパートナーが必要だと感じ、中国との関係を強化しているのです。」

クリミアの事態 なぜ防げる?

花澤
「中国とつきあうことで、クリミアのような事態を防げると考えるのはなぜなのでしょうか?」

松尾支局長
「クリミアのような事態が起きても、さすがに中国が軍事的に支援をするのは考えにくいと思います。
ただ、少なくとも外交の幅が広がり、選択肢が増えることをベラルーシは期待しているのです。
中国との関係を保っておけば、仮にロシアとの間で何らかの問題が発生したとしても、中国を通じてロシアを説得してもらうこともできます。
ベラルーシの指導者たちは、ロシアとの関係が悪化するだけで、一国として立ちゆかなくなるという事態は避けたいのが本音なのです。
さらに、ロシアがここ数年国際的に孤立していることから、ベラルーシにとっては中国というカードの強みが増しており、ますます接近する姿勢を見せていると指摘されているのです。」



ロシア側の受け止めは

酒井
「ロシアは、どう受け止めているのでしょうか?」

松尾支局長
「ロシアにとって最も親密な国家であるベラルーシが、中国から兵器を購入したり、軍事パレードまでやられては、さすがにいい気はしないと思います。
実はルカシェンコ大統領は現在、モスクワでプーチン大統領と首脳会談を行っていて、ロシア産の天然ガスや原油などの供給をめぐり、意見を交わしているものとみられます。
プーチン大統領はベラルーシが中国と関係を築く中、ロシアとの伝統的な友好関係も発展させる必要性を強調したとみられます。
一方で、自分の勢力圏に土足で踏み込んでくる中国に対してもロシアは穏やかではいられないはずです。
ロシアはただでさえ、欧米からの制裁で国際的に孤立していますが、友好国のベラルーシが中国との関係を強化している現状は、ロシアが国際社会の中で直面する難しい立場を象徴するものと言えそうです。」



酒井
「何かあれば中国に頼るために接近している。
それだけ、ロシアを警戒しているということなんですね。」

花澤
「そうですね。
中国とロシアの関係というのは非常に微妙で、対アメリカという意味では“敵の敵は味方”と連携はしていますが、根底には不信感があるんですよね。
今回のベラルーシをめぐるこの動きは、中ロの微妙な関係を浮かび上がらせているといったところかと思います。」

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