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特集

2018年11月28日(水)

衝撃証言 ウイグル族“不当収容”の実態

 
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酒井
「中国・新疆ウイグル自治区で、大勢のウイグル族の人たちが不当に拘束されているという問題。
その当事者に、話を聞きました。」

収容されていた男性
「足を鎖で壁につながれ、3か月もその状態が続きました。
2人が私の目の前で亡くなりました。
『しゃべるな』と脅迫されました。」


厚いベールに覆われてきた、収容所の実態に迫ります。


酒井
「中国・新疆ウイグル自治区で、収容所に入れられているウイグル族の人たちは、アメリカ政府や国際的な人権団体などによると、100万人にも上ると指摘されています。」

花澤
「中国政府は『施設で職業訓練を行い、テロリズムの浸透を防いでいる』と主張していますが、関係者への取材からは、中国政府の主張とは異なる証言が集まってきています。」

中国ウイグル族拘束 証言「収容所の実態」

10年以上、日本で暮らすウイグル族の女性です。
去年(2017年)9月、ふるさとに住む弟が拘束されたと言います。
母から聞いた当時の状況を語りました。

日本在住のウイグル族の女性
「夜中に家に突然、警察が10人以上入ってきて、銃を持っていて、うちの弟を『教育(施設)』に連れて行くと話しました。」

そして今年(2018年)6月、最悪の事態が伝えられました。

日本在住のウイグル族の女性
「(母から)『昨日、弟が亡くなった、あなたに知らせておいた方がいい』と。」


家族は、弟が心臓の病気で死んだと説明されましたが、顔を確認できただけで、遺体の引き取りは許されなかったと言います。

日本在住のウイグル族の女性
「亡くなった時も体を見せてもらうことはできなかった。
体に暴力を受ければ、痕が出来るじゃないですか。」

「収容所で知人が働いている」という男性にも話を聞くことができました。
知人はウイグル族で、公務員でした。
去年、突然、収容所での勤務を命じられ、施設の管理を任されたということです。
知人からは、多くの人がささいな理由で強制的に拘束されていると聞いたと言います。

日本在住のウイグル族の男性
「“ウイグル族の葬儀に出た”“民族衣装をよく着る”という程度でも拘束されます。
ひげを生やしたり、宗教を学んだり、宗教的な服を着ている場合は、裁判の手続きなしで20年の懲役刑になることもあるそうです。」


アメリカのシンクタンクは、衛星写真などの情報をもとに、2016年以降、新疆ウイグル自治区で収容所が急増していると指摘しています。

日本在住のウイグル族の男性
「収容所の数は非常に多く、規模も大きいです。
この事態を国際社会に訴えるべきです。」

  

花澤
「解放された人の情報がほとんど確認されていない、新疆ウイグル自治区の収容所。
拘束されていた当事者がその実態を語りました。
新疆ウイグル自治区出身で、現在はカザフスタン国籍のオムル・ベカリさん。
先週、来日したオムルさんに、話を聞きました。」

オムル・ベカリさん。
去年3月、ウイグル自治区にある父の自宅を訪れた際、突然、警察に拘束されました。

オムル・ベカリさん
「5人の武装した警察官が突然現れ、逮捕状もなく両手を後ろに縛り、頭に黒い袋をかぶせられて車に乗せられ、連れて行かれました。」


収容所に入れられたオムルさんは、鎖で縛られたまま、耐えがたい苦痛が続いたと言います。

オムル・ベカリさん
「鎖で手と足が縛られた状態で、まっすぐ立つこともできないこういう状態です。
24時間、7か月、この状態が続きました。
寝るときも食事の時もです。」


収容所の内部を映したとされる映像を、オムルさんに見てもらいました。

「共産党が無ければ、新しい中国は無い。」

  

オムル・ベカリさん
「私がいたのが、まさにこういう所でした。
食事も寝るのもトイレもここでした。
1日約15時間、手足を縛られた状態で座り、壁に書かれた政府の政策や法律を学んだり、共産党や中国をたたえる歌を歌わされたりしました。」


収容所は狭い部屋が並び、それぞれの中に大勢の人が閉じ込められて、早朝から深夜まで思想教育が強制されたと言います。

オムル・ベカリさん
「こういう形でずらりと棟が並んでいて、各棟には12の部屋があって延々と続きます。
45人ほどがいる部屋にいました。
私は3つの罪を認めるよう迫られました。
1つ目は国家の安全を脅かした容疑。
2つ目がテロ行為の計画。
3つ目がテロを起こした者をかくまったこと。」

こうした罪を認めるよう、執ような拷問を受けました。
長い時で、拷問は1週間続き、それが何度も繰り返されたと言います。

花澤
「拷問というのは具体的に何をされるのですか?」

オムル・ベカリさん
「例えば夏だったら、パンツ1枚の状態で、厳しい暑さの中で立たされる。
冬は裸足(はだし)にされ、氷の上に立たされて、冷たい水をかけられることもあります。
天井に両手と両足を広げた状態で、逆さまにつるされました。

このようにイスに縛られ、後ろから、足や腰、背中を棒で殴られました。
その痕は、今も残っています。
人間の体というのは、しばらく続くと痛みも感じなくなるものです。
2人が私の目の前で死んだのを見ました。
まるで死を待っているような生活でした。」



オムルさんはおよそ8か月の拘束の後、カザフスタン政府の働きかけで去年11月に解放されました。
しかし、生まれ故郷の姿は一変していました。
膨大な数の人が拘束されていると実感したと言います。

オムル・ベカリさん
「収容所を出た時、ウルムチやトルファンでもウイグル族やカザフ族の男性をほとんど見かけませんでした。」


カザフスタンに戻ったオムルさん。
メディアの取材に応じると、今度はふるさとの両親や兄弟などが次々と拘束されたと伝えられ、自身も脅迫を受けるようになりました。

オムル・ベカリさん
「全員が拘束されました。
そして、今年の9月、当局に拘束された80歳の父が収容所で亡くなりました。
中国に雇われたであろう人間が来て、『しゃべるのをやめろ』と脅しを受け、命の危険を感じました。
いつ殺されてもおかしくないのです。
今も昼間はなるべく外出しないようにしています。」



酒井
「ここからは、中国現代史が専門でウイグル族の現状に詳しい、明治大学兼任講師の水谷尚子さんにお話を伺います。
よろしくお願いします。
現地は本当に深刻な状態でしたし、オムルさんも目の前で2人亡くなったと話していましたが、現地の被害の状況は今、どうなっているのでしょうか?」

明治大学兼任講師 水谷尚子さん
「ラジオ・フリー・アジアやそのほか日本のニュースなどの報道によると、公開されているだけで63人の死者が確認されています。
収容所が出来て2年足らずですが、その段階で、公になっているものだけでこれだけの数です。
おそらく氷山の一角であると思われます。」

花澤
「オムルさんの目の前で亡くなっただけでも2人いるということだと、かなり膨大な数ということになりますよね。
また収容所の近くに火葬場が出来るケースもあるということですが。」

水谷尚子さん
「中国のインターネット上で、火葬場の職員を募集していたりします。
そもそもウイグル人はイスラム教徒ですから、火葬はしないんですね。
ということは、亡くなった方々を家族の元に返さず、直接火葬場に送っているという疑いが持たれています。」

花澤
「オムルさんは出てこれたわけですが、こういった形で収容所から出られる人というのはどのくらいいるのでしょうか。」

水谷尚子さん
「カザフスタン国籍の方々が確か14名ほど、それ以外の国籍でカザフスタンに逃げ込んだ人たちが20数名。
それくらいは確認されていますが、ほとんど出てくるとしたら遺体になって出てくるという状況です。」

花澤
「非常に深刻な状況ですけれども、中国政府としてはどこに向かっているというか、何を目的に、どうしようとしているのでしょうか?」

水谷尚子さん
「一帯一路政策で、この地域は8か国に国境を接していて、軍事・交通の要所なんですね。
この経済政策をとる時に、その地域は非常に重要であるけれども、そこにいる、元々からいた民族であるウイグル人は不要であると、彼らは考えているのではないでしょうか。」


花澤
「ウイグル族の人たちの中でも、知識階級、指導者層が特に狙われているという話もありますが。」

水谷尚子さん
「最初、拘束されていたのはイスラムの宗教指導者などでした。
ところがあっという間に、ウイグル人の文化を担っていた、大学の教授、著名な医学者、ジャーナリスト、あるいは経済界の著名人など、ウイグル人社会の上層部にいた人たちが、ことごとく拘束・収容されています。」

花澤
「そのことの意味・意図はどこのあるのでしょうか。」

水谷尚子さん
「例えば彼らが独立運動なり抵抗運動なりをする時に、核となる人たちが根こそぎいなくなるということになります。
そういう人たちがいないということは。」

花澤
「抵抗を抑えるためではないかということですか?」

水谷尚子さん
「抵抗を抑えるだけで、これだけのことをするとは思えないです。
私は、ちょっと言葉は悪いですが、まるでカンボジアのポル・ポト政権のように思えます。
こういう人たちがいなくなったら彼らの30年、40年が失われるわけです。
エスニック・クレイジング(民族浄化)と言っていいぐらいの度合いにきていると思っています。」

花澤
「中国政府としては、どこまでこの収容を拡大していくのか。
ウイグル族は1,100万人と言われますが、今アメリカ政府が指摘しているのは100万人の収容ですよね。
どんどん増えていくということになるのでしょうか。」

水谷尚子さん
「そうですね。
オムルさんの証言にもあったように、いなくなったらまた人が入ってきている。
最初はイスラム宗教指導者だったのが、どんどん知識人、経済界の人にという感じなので、拡大していると言って可能でしょう。
しかも、これだけのインフラ投資をしているわけです。
この制度は何らかの圧力をかけない限り続いていくと思われます。」

花澤
「その意味で国際社会の非難が強まってきているのですが、それを中国政府はどう受け止めているとみられますか?」

水谷尚子さん
「ある程度は意識はしているんでしょうね。
アメリカの今回の発言で、アメリカが経済制裁をかけるならこちらもという発言をしていますので。
意識はしていると思います。」

花澤
「それで止めることはできるのかという問題なんですけれども。」

水谷尚子さん
「例えば今月(11月)上旬の国連人権理事会では、欧米が中心となった13か国が中国への抗議をしましたが、もっとこの声を大きくしていかなければいけません。
そもそも収監されているウイグル人の知識人の中には、日本にゆかりのある人も非常に多いのです。
日本に留学していたウイグル人の知識人たちは極めて多く、例えば新疆大学の元学長だった方も日本留学組です。
この方は国家分裂主義者として2年間の執行猶予は付きながらも、死刑判決を受けています。
日本人の中にも友人、知人が投獄された方もいるはずなんです。」

花澤
「その意味では日本政府の対応はいかがですか?」

水谷尚子さん
「現段階では、政府が何かやったという話はまだ私の耳には伝わっていませんが、外務省に日本の人権組織、アムネスティであるとか、私などが個人的にウイグル人の学生を連れて行って状況を説明するとか、そういったことはやっています。」

花澤
「これをどう止めるのか、ということですが、止められるでしょうか。」

水谷尚子さん
「止めなければいけませんね。
度を超えていますので、何とか止めるように声を上げていかなければいけないと思います。」

花澤
「ありがとうございました。」

酒井
「ここまで、明治大学兼任講師の水谷尚子さんと共にお伝えしました。」

花澤
「ウイグルの人々が置かれている状況は極めて深刻です。
国際社会は一致して、さらに強く中国政府に働きかけていくことが求められています。」

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