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特集

2018年10月4日(木)

米中間選挙まで1か月 共和・民主両党の戦略は

 
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酒井
「大統領選挙の勝利から2年。
アメリカ国民は、トランプ政権をどう評価するのでしょうか。」

花澤
「『国民からの審判』とも言われる中間選挙まで、あと1か月です。
選挙結果は、トランプ大統領の任期後半の政権運営にも大きく影響することになります。」

中間選挙まで1か月

松岡
「アメリカの中間選挙は、4年ごとに行われる大統領選挙の『中間』の年に実施される、アメリカ議会の上下両院の議員と各州の知事の選挙の総称です。
現在、上院・下院とも過半数を占めているのは、与党・共和党です。

上院は、議席の差がわずか2議席で、全体のうち35議席が改選。
下院は、全435議席が改選され、議席の差は43議席です。
今回の中間選挙では、下院は民主党が優位に選挙戦を進めていると伝えられており、上院は接戦が続いています。
共和党が上下両院で過半数の議席を維持できなければ、公約の実現など、トランプ大統領の今後の政権運営は難しくなります。
共和・民主両党は、どのような戦略で臨むのか、取材しました。」

中間選挙まで1か月 共和党が狙う“危機感”

リポート:西河篤俊記者(ワシントン支局)

アメリカ トランプ大統領
「十分注意してほしい。
民主党が勝てば、この国は大混乱になる。」

今週、支持者を前に演説したトランプ大統領。
民主党の優勢が伝えられる中、支持者の「危機感」をあおることで、投票に行かせようとしています。

東部ペンシルベニア州。
共和党のバレッタ候補です。
下院から上院にくら替えして民主党の議席を奪うことを目指しています。

共和党 バレッタ候補
「我々は不法移民にピリオドを打つ!」

「ミニトランプ」とも呼ばれ、壁の建設など不法移民の取り締まりを訴えかけます。

共和党 バレッタ候補
「不法移民は国の安全保障にも関わるし、家族を養う国民から雇用も奪っている。」

この地域は、かつて栄えた鉄鋼業などの製造業の衰退が進み、「ラストベルト」と呼ばれ、2年前の大統領選挙でトランプ陣営の勝利の原動力ともなりました。
背景にあるのは、白人有権者が抱く「危機感」です。
この町では、雇用の減少とともに流出する白人に取って代わるように、安価な住宅などを求めるヒスパニック系住民が入り込み、その数は年々、増え続けています。
2000年に95%を占めていた白人の割合は去年には44%にまで減少、白人がマイノリティーになりました。
この「危機感」をさらに強めているのが、不法移民です。

記者
「解決するには?」

住民
「さぁ…どうすればいいのかしら。」

住民
「国境を封鎖すればいいのよ。」

住民
「そうね、正解かもしれない。」

  

町の近郊に70年以上年暮らすソロカスさん夫妻です。
以前は、民主党のオバマ前大統領を支持していましたが、2年前はトランプ氏に投票しました。
治安の悪化を恐れる知り合いも少なくないと言います。


「町を出た友人もいます。
愛する故郷を出るなんて悲しいわ。」

ソロカスさん夫妻は、トランプ大統領に、厳しい移民政策をとり続けてほしいと考えています。


「不法移民を制限できなければ、この国は乗っ取られてしまいます。
国境の壁は不法移民の流入を阻止してくれると信じています。」


「皆が『変化が欲しい』と言っていた時に、変化をくれたのはこの人なんだ。」

中間選挙まで1か月 民主党が狙う 若者・女性票

リポート:飯田香織支局長(ロサンゼルス支局)

一方の民主党は、トランプ政権への反発を、投票率の底上げにつなげようとしています。
先月(9月)、全米各地で遊説を始めたオバマ前大統領。
任期を終えたばかりの大統領が、政治の表舞台に出てくるのは異例のことです。

オバマ前大統領
「人の見かけや宗教、性的マイノリティを差別しないというのは、民主党・共和党以前の問題だ。
投票をしよう!」

オバマ前大統領の登場で、選挙活動に参加する人も出てきています。
民主党のボランティア、ジュリア・エングストロムさんです。

民主党のボランティア ジュリア・エングストロムさん
「トランプ政権になって希望を失いかけていたところに、オバマ前大統領が現れて、とてもうれしかったです。」

エングストロムさんは、オバマ前大統領が今も高い支持を集める若者の票を掘り起こそうとしています。
スマートフォンなどを使って、直接投票を呼びかける活動を始めています。

民主党のボランティア ジュリア・エングストロムさん
「戸別訪問するよりも効率的。
もう7,000人以上の人とやりとりをしています。
これからも続けます。」


そして、民主党が掘り起こしに力を入れるもう1つが「女性票」です。
女性たちによるピンクの波=ピンク・ウエーブと呼ばれる動きが広がっています。
この日は、1万人を超える女子高校生に投票を呼びかけるイベントが開かれました。

参加した高校生
「今の大統領は改善の余地が大いにあります。
特に女性との向き合い方は適切ではありません。」

今回の中間選挙に立候補している民主党の女性候補は、合わせて202人。
上院・下院のいずれも過去最多となっています。
女性候補の1人、ケーティ・ヒル氏。
民主党が強いカリフォルニア州で、数少ない共和党の議席を奪うことを目指しています。

民主党 候補 ケーティ・ヒル氏
「この議席を勝ち取らずして、民主党の下院奪還はあり得ません。」

民主党がここで集中的に展開しているのは、無党派層の女性たちの票の掘り起こしです。
トランプ大統領に厳しい目を向ける女性有権者に働きかけています。

「私たちには彼女のような人が必要なんです。
女性の権利のために動けると思います。」

民主党のボランティア
「今のトランプ政権ではダメなんです。
2年足らずの間に、多くの逆行があります。
私たちは後戻りを許すことはできません。」

直近の世論調査では、共和党が勝ち続けてきたこの選挙区に、ヒルさんは接戦を演じています。
トランプ政権に反発する女性候補への追い風が吹いていると、ヒルさんは感じています。

民主党 候補 ケーティ・ヒル氏
「アメリカにおける女性の地位が思いのほか後退しているという現実に、多くの女性たちが気づいたと思います。
対等な関係のために立ち上がらないといけない。
今回の選挙は女性、そして若者が結果を決めるでしょう。」

中間選挙まで1か月 民主・共和 両党の戦略は

酒井
「ここからは、ワシントン支局の栗原記者に聞きます。
民主共和党の戦況に変化は出ていますか?」

栗原記者(ワシントン支局)
「民主党に追い風が吹いていると言えると思います。
アメリカで今、持ちきりなのは、最高裁判所の判事の指名を巡る問題です。
トランプ大統領から指名されている判事の候補に、30年前に性的暴行を受けたと女性が議会で証言したため、承認の手続きを進めたい共和党が、性被害の加害者をかばっているように映っているのです。
これが、『無党派層』の女性の反発を呼ぶ可能性があり、民主党にとっては後押しになると見られています。
実際に世論調査の中には、民主党が支持を伸ばしているものもあります。
さらにリポートにあったように、今回の選挙の特徴の1つは、女性候補が多いこと。
女性候補のおよそ7割を抱える民主党にとっては、有利になっているとも言えます。」

花澤
「投票まで1か月となりましたが、トランプ大統領は過半数を守るのか、その見通しはどうなんでしょうか?」

栗原記者
「最新の世論調査では、上院は共和党が維持し、下院は民主党が取る可能性が高いという見方が主流です。
共和・民主両党ともに注目しているのは、投票率です。
一般的に、大統領選挙の間の年に行われる『中間選挙』は、投票率が低いのが特徴です。
このため、投票に行かない人たちをいかに取り込むかに力を入れているのです。
今のアメリカは、トランプ大統領の支持者と民主党の支持者が完全に2極化しています。
このため、相手陣営の支持者を説得して、自分たちの側に投票してもらうように働きかけることは簡単ではありません。
それが、両陣営がそもそも投票に行かない人に狙いを定める要因にもなっています。
投票まであと1か月。
機運が徐々に高まる中で、有権者の掘り起こしが勝敗を分けることになりそうです。」

酒井
「双方共に『危機感』をあおって投票に行かせよう、という戦略のようですね。」

花澤
「投票率は大統領選挙は大体55%ぐらいあるのですが、中間選挙は低く、大概40%程度にとどまります。
このため、双方共に、支持者に確実に投票に行かせることが鍵です。」

酒井
「それと民主党は無党派層を取り込もうとしているようですね。」

花澤
「民主・共和と完全に分断されていますので、無党派層は確かに重要です。
トランプ大統領へのメディアなどの批判をテコに取り込める、と民主党は考えているんでしょう。
実際、世論調査でその傾向が出始めています。」

酒井
「2年前の大統領選挙で無党派層が投票したのは、トランプ氏が46%。
クリントン氏が42%。
トランプ氏の方が多かったんですね。
ただ、今週発表された世論調査。
無党派層では、共和党候補に投票するとしているのが、39%。
民主党候補に投票するとしているのが50%と。
逆転していますよね。」

花澤
「ということですよね。
やはりトランプ大統領への批判を追い風にしているようなんですが、問題は無党派層がどれだけ投票に行くか、ということになります。
大統領選挙の時は、8人に1人が投票の直前、数日の間に、誰に投票するか決めたということが分かっています。
そして今回も、現時点で、誰に投票するのか、投票に行くかどうかも含めて、『決めていない』という人が2割に上っています。
ですから、これからという面もあるんですね。
トランプ大統領の政権運営を左右する中間選挙は、投票率を鍵に、最終盤まで激しい戦いが続くことになりそうです。」

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