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特集

2017年11月9日(木)

急成長「eスポーツ」最前線

 
放送した内容をご覧いただけます

撃って、撃って、撃ちまくる!
有名プレーヤーたちの超絶テクニック。
観戦する人々も大興奮。
コンピューターゲームをスポーツのように競い合う「eスポーツ」が、今、世界中で人気を集めています。

飯田香織支局長(ロサンゼルス支局長)
「eスポーツのワールドカップの決勝戦です。
会場は大変な盛り上がりです。」

イベント主催者
「自分にはできないプレーが見られると、eスポーツの人気は拡大しています。」

空前の盛り上がりを見せるeスポーツ。
その最前線・アメリカから、ビジネス拡大への期待と課題を考えます。

ゲームを競う“eスポーツ”

増井
「今、世界で人気が広がっている『eスポーツ』。」

花澤
「『ゲームをする』楽しさだけではなく、『高いレベルのプレーを見る』エンターテインメントとしても注目を集め、関連するビジネスの拡大も期待されています。」

松岡
「『eスポーツ』とは、『electronic sports(エレクトロニック・スポーツ)』の略語です。
そのルーツは、1980年代に遡ります。
当時コンピューターゲームが普及し、その技を競い合うゲーム大会が開催されるようになりました。
1990年代になると、格闘ゲームのブームやインターネットの普及で、こうした大会の人気も加速。
欧米では、優秀な選手=ゲーマーのプロ化も始まります。
そして2000年頃から、『eスポーツ』という呼び名が使われるようになりました。
大会の賞金も年々高額になっていて、中には総額が20億円を超える大会もあるんです。

アメリカではeスポーツをテレビやインターネットで観戦する人が急増。
来年(2018年)にはNBA=アメリカプロバスケットボールと並び、2021年には野球のメジャーリーグを超えるとの予測もあります。
こうした人気を取り込もうとしているのが、アメリカの大学や企業です。
大学ではeスポーツを『体育会運動部』として認め、奨学金を出して優秀な学生を集めようという動きが広がっています。」

最前線アメリカで高まる期待

リポート:飯田香織支局長(ロサンゼルス支局長)

先月(10月)開かれた、大学ナンバーワンを決めるeスポーツの大会。
全米から110に上る大学が出場しました。

全米ビデオゲームリーグCEO ビクター・ススキさん
「予想の2倍の大学が出場し、興奮しています!」

アメリカでは今、eスポーツをする学生を集めるため、奨学金制度を設ける大学が増えています。
全米eスポーツ大学連盟によりますと、その数は50校以上。
野球やバスケットボールの選手と同じように、優秀なゲーマーを積極的に獲得しようとしています。
去年(2016年)、公立大学として初めて奨学金制度を設けたカリフォルニア大学アーバイン校です。
eスポーツ部に所属する選手は現在14人。
彼らがいそしんでいるのは…。

なんと筋トレ。
長時間に及ぶゲームで集中力を保ち、思い通りにゲーム操作を行うには鍛え上げた体が必要なんだとか。

トレーナー ハイレシュ・パテルさん
「キーボードとマウスを駆使する腕力が大事。
試合中のパワーダウンを抑えたいのです。」

毎週4回、最大4時間チームとして練習を行う選手たち。
全員が大学から奨学金を受け取っています。

eスポーツ部員
「ゲームばかりやって大学は無理と言っていた母も、奨学金をもらえて喜んでいます。」

eスポーツ部責任者 マーク・デピさん
「奨学金によって経済的な負担が減り、アルバイトをせずにゲームと授業に集中できます。」

この大学が奨学金制度を導入したのは、優秀な人材を獲得するためです。
eスポーツの選手はコンピューターサイエンスにも詳しく、有能なエンジニアや研究者になる可能性があると大学側は見ています。
さらにeスポーツの強豪校として知名度を上げれば、学生を集めるための広告効果も期待できるといいます。

カリフォルニア大学アーバイン校 トーマス・パーハム副学長
「eスポーツには、ゲームの学術研究・競技性・地域貢献・エンターテインメントの要素がある。
全米でここだけのeスポーツプログラムを実施していきたいです。」

eスポーツ人気の波に乗ろうと、シリコンバレーなどのIT企業も動き出しています。

このゲーム専用機メーカーは、奨学金の資金などとして、カリフォルニア大学アーバイン校に4年契約でおよそ8,000万円を拠出しました。
さらに最新鋭のコンピューター80台も無償で提供。
eスポーツに力を入れる大学との関係を強化することで自社製品の認知度を上げ、販売の拡大につなげたいと考えています。

コンピューターメーカー タイロン・ウォングさん
「資金提供は大きな意味があります。
大学のスポンサーになることで、購買層の若者に自社製品を宣伝できます。」

メディア業界もeスポーツに期待を寄せています。
先月(10月)、ハリウッドに専用のスタジオが完成しました。
このスタジオを使い、プロや大学の試合をインターネットで同時配信。
eスポーツをコンテンツとして確立させ、新たなビジネスにつなげようと考えています。

eスポーツ企画担当者 アダム・ローゼンさん
「1年中、大学のeスポーツの試合を開催します。
ファンが選手と交流できる環境設備が必要です。」

アメリカでは、大学と企業が一体となってゲームをスポーツとして定着させ、すそ野を広げようとしています。

娯楽として定着

増井
「取材したロサンゼルス支局の飯田支局長に聞きます。
eスポーツの盛り上がり、ものすごいですね。」

飯田支局長
「プロの大会に行くと、野球やサッカーなど一般的なスポーツと同じような盛り上がりで、正直驚きました。
ゲームがスポーツとして、あるいはエンターテインメントとしてアメリカでは定着しつつあります。
オランダの調査会社Newzoo(ニューズー)によりますと、市場規模は去年、日本円でおよそ560億円だったのに対して、2020年には3倍以上のおよそ1,700億円になると予想されています。
eスポーツは、2022年の中国杭州アジア大会で正式な競技種目として採用されることがすでに決まっています。
さらに先月、IOC=国際オリンピック委員会がeスポーツについて、競技種目として検討することを明らかにしました。」

批判や課題は?

花澤
「一方で、ここまでのゲーム熱に対する批判や課題などは出ていないのでしょうか?」

飯田支局長
「そもそも『これはスポーツなのか?』という議論があります。
IOCはeスポーツについて『伝統的なスポーツ選手と匹敵するくらいの練習・準備とトレーニングが必要だ』としてスポーツ競技だと事実上認めています。
一方で、仮にオリンピックの競技に採用されたとしても、暴力的なゲームは競技として排除するとみられます。
韓国ではゲーム依存症などが問題になっていると聞きますが、アメリカでは今のところeスポーツに対してそこまでの批判はありません。
『親がゲームで育った』と言っている大学生も多く、理解があるのだと思います。
eスポーツを巡るブームは、今後さらに熱を帯びそうです。」

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