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  読み書きパワーアップ教室 一覧へ戻る
 
番組のないようについて、もっとくわしく勉強したい人にぴったりのコーナーです。読み書きの先生がていねいに教えてくれるよ。
 
「言い換えゲーム3~和語と漢語~」
 
●お父さんの日記
 

 山田くんのお父さんは、今朝から自分の部屋にこもって何か整理をしていました。そのうち、「ああ、これはなつかしいなあ。」とさけび声を上げて、山田くんのところに1冊の日記を持ってきました。
 「これはね、お父さんの学生時代の日記だよ。お父さんは、学生のころから登山が好きでね、友だちといろいろな山に登ったもんだ。」
 そう言って見せてくれたのが、次の文章です。山田くんは、ちょっと読んでみました。

 ○月○日。友人二名と三角山へ。幸運にも晴天で、非常に快適。登山中、突然とつぜん腹痛を感じたが、携帯けいたいした散薬を服用すると軽快した。昨夜の食事に中毒したのだろうか? 午後、山頂に到着とうちゃく。眼下の眺望ちょうぼうは最高で、市街が一望できる。疲労ひろうは全然感じなかった。


●昔の人の文章?
 
 「うわあ、難しいな。お父さんの文章は、昔の人が書いたみたいだ。」
 山田くんがそう言うと、お父さんは、むっとしたような顔をしました。
 「難しいことはないよ。ちょっと漢字が多いかもしれないが……。それでは、君にも分かりやすく言い直して読んでやろう。」
 お父さんはそう言って、ことばを直しながら、日記を声に出して読みました。

 ○月○日。友だちふたりと三角山へ。幸いにも晴れて、とても心地がよい。登っているとき、いきなりおなかが痛くなったが、持ってきた薬をのむとよくなった。ゆうべ食べたものに当たったのだろうか? 昼過ぎ、山の上に着く。見下ろしたながめはこの上なくすばらしく、街が一目で見わたせる。つかれはまったく覚えなかった。


●どこを変えたのか
 
 「うん、それなら分かるよ。山登りの時に、おなかが痛くなるなんて、気をつけなきゃ。」
 「本当にそうだね。ところで、今、お父さんは、文章をどういうふうに直したか分かるかい?」
 「難しいことばを、やさしく直したんでしょう?」
 「いや、それだけじゃないんだ。じつは、はじめの日記は、漢語 かんご を多く使っていた。それを、すべて和語 わご に言い直してみたんだ。」
 たしかに、そのとおりです。初めの文章は、「友人ゆうじん」「二名にめい」「幸運こううん」「晴天せいてん」など、漢字を音読みにすることばが多く使われています。これは、漢語と言います。
 一方、あとの文章は、「ともだち」「二人ふたり」「さいわい」「れる」など、漢字を訓読みにすることばが多く使われています。これは、和語といって、漢字が使われる前の、古い時代の日本語がもとになったことばです。


●和語と漢語のちがい
 
 「じゃあ、和語はやさしくて、漢語は難しいんだね?」
 「そうとばかりは言えないね。『学校で勉強する』の『学校』『勉強』は漢語だけど、やさしいことばだ。また、和語にも『みずから』(自分で)とか、『にわかに』(急に)とか、難しいことばがあるよ。ほかにも、和語・漢語には、いくつかちがいがあるんだが、君に分かるかな。」
 さて、あなたは和語・漢語はどういうところがちがうと思いますか。少しだけヒントを言うと、
・文字の数はどうですか。どちらのほうが長くなりますか。
・発音が同じことばが多いのはどちらですか。たとえば、「成果」「生家」「青果」は同じ発音です。
 和語・漢語のちがいを知ったうえで、「友だち←→友人」「二人ふたり←→二名」というふうに、いろいろなことばを和語・漢語に言いかえてみましょう。そうすると、自分が書く文章の内容に合わせて、ことばを選ぶことができるようになります。

(早稲田大学非常勤講師 飯間浩明)
 
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