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番組のないようについて、もっとくわしく勉強したい人にぴったりのコーナーです。読み書きの先生がていねいに教えてくれるよ。
 
第11回 「事実?意見?~事実と意見を区別する~」
 
●ふられた山田くん
 




 山田くんが、ひどく、しょぼんとしています。どうやら、好きな女の子に告白して、ふられたようです。かれは、たまたま通りかかった松本さんに、ため息をつきながらぼやきました。そのせりふに、ひとつずつ番号をつけてみます。

(1)ぼくは、もうおしまいだ。 (2)あの子は笑いながら、むこうに行ってしまった。(3)ラブレターも受け取ってもらえなかった。(4)すごく、かわいい子だった。(5)あんなかわいい子は、もういないだろう。(6)ぼくは、どうして、こう、もてないのかな。

 松本さんは、山田くんがだらしないので、あきれてしまいました。いつものかれらしくありません。でも、なんとかなぐさめようとしました。
 それにしても、どうやってなぐさめればいいのでしょう。ヒントは、「事実と意見を区別する」というところにあります。


●事実はどれ?
 
 まずは、「事実」と「意見」のちがいを確かめておきましょう。
 「事実」とは、本当にあったことです。また、だれでも確かめられることです。
 「意見」とは、その人が考えたことです。
 山田くんのせりふには、事実と意見がまざっています。事実を言っているのは、「(2)あの子は笑いながら、むこうに行ってしまった。」という文と、「(3)ラブレターも受け取ってもらえなかった。」という文の2つだけです。
 「あの子が笑いながら、むこうに行った」ことは、山田くんの記憶(きおく)に残っていますし、その女の子に聞いてたしかめることもできます。これは事実です。また、「ラブレターを受け取ってもらえなかった」ことは、山田くんが手に持ったままのラブレターを見れば分かります。やはり事実です。
 でも、それ以外のことは、全部、山田くんの意見なのです。


●「おしまい」じゃないかも
 
 順番に見ていきましょう。最初の「(1)ぼくは、もうおしまいだ。」というのは、意見です。「おしまい」かどうかなんて、だれが決めるのでしょう。山田くんがそう思っているだけです。
 「(4)すごく、かわいい子だった。」は、どうでしょう。たしかに、山田くんにはそう見えたかもしれませんが、べつの人から見ると、ふつうの女の子かもしれません。これも意見です。
 なお、「かわいい子」だけでなく、「大きい地球」「長い夏休み」のような言い方も、意見です。人によって「大きい」「長い」と思うかどうかは、ちがってくるからです。「地球は月より大きい」「夏休みは冬休みより長い」というふうに、はっきり比べている場合は、事実です。
 「(5)あんなかわいい子は、もういないだろう。」「(6)ぼくは、どうして、こう、もてないのかな。」のように、「~だろう」「~かな」などの言い終わりは、自分の考え方を示しています。したがって、これも意見ということになります。


●事実か、意見か、注意して
 
 こうやって見てくると、山田くんは、勝手に思いこんで、悲観しているだけだということが分かります。もっと元気を出してもらわなければいけませんね。
 最後に、「意見」の種類をまとめておきましょう。およそ次のようなものがあります。

自分の見方を表す… かわいい 大きい 長い 人気がある 好評だった 成功した
予想などを表す… ~だろう ~はずだ ~かもしれない
希望などを表す… ~たい ~しよう ~てほしい
当然… ~べきだ ~なければならない

 人の話を聞いたり、文章を読んだりするとき、それは事実なのか、その人の意見なのかを、はっきり区別することが大切です。もし、その人の意見であれば、その意見が正しいかどうか、注意してみてください。山田くんのように、勝手に思いこんでいるだけだという場合が、よくあります。

(早稲田大学非常勤講師 飯間浩明)
 
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