今にも本降りの雨が降り出しそうな空模様の諫早駅から、島原鉄道に乗って輪行する正平さん。
目指すは島原半島の南端に位置する加津佐海水浴場です。
お手紙をくださった野口さんが小学生のころ、10数年前に亡くなった父親と、一度だけの、二人だけの旅で連れて行ってもらった思い出の場所です。
筑後平野のど真ん中で育った野口さんが、無口な父親と二人、鉄道や船を乗り継いでの大旅行の末に見たのは、生まれて初めて目にした広大な砂浜でした。
野口さんが海水浴場まで乗った鉄道は、途中駅までで廃線になっています。正平さんは思い出の鉄道のあとをたどりながら、加津佐の浜を目指します。