にっぽん縦断 こころ旅
ずっと残したい、ふるさとの風景
正平さん、チャリオ君、こんにちは。
私のこころの風景は、「ひめさゆりの小径」です。
私は現在千葉県に住んでいますが、出身は新潟県三条市で今も父と姉が暮らしています。高校を卒業して、千葉の看護学校に進み、看護師の資格をとったら、地元に帰ることを約束していたのですが、その約束を破り 千葉の病院に就職しました。電話で母は反対し、言い争いもしましたが、どうしても残りたいと説得し、渋々了承してくれました。
看護師になって数年後、母に癌が見つかり、手術をするという知らせを父から聞きました。ステージⅣの胃がんで開腹手術では腹膜転移が広範囲のため、手の施しようがなく、癌を切除することなくそのままお腹を閉じたそうです。母にはそのことはふせ手術は成功だったと伝えたそうです。
私は母の介護をするため、すぐ勤め先の病院を辞め、実家にもどりました。
手術後の母は痩せて体力が少し落ちたものの、食欲もあり元気で
癌があるとは思えないほどでした。ちょうど4月から6月にかけての季節で、春の野花が山々に咲いていました。
そんなある日「ひめさゆりの小径」に母と出かけました。
山道一面に咲くひめさゆりを見て、あまりの美しさに感動しました。
森林の静寂の中にひっそりとたたずむひめさゆりは朝露にぬれ、本当に美しかったです。母も喜んでいたように思います。
その1年半後、母は亡くなりました。あの時一緒に過ごした日々を思う時、いつもひめさゆりの風景を思い出します。あの日カメラを忘れたことが悔やまれ、絶対にこの風景はこころに残しておこうと固く思い、いまでも忘れていない風景です。
今、わたしは千葉にもどり結婚し、子どもは成人し、亡くなった母の歳に近づいてきました。あの時の母の心情はどうだったのかな‥と思います。
あの時以来「ひめさゆりの小径」には訪れていません。
正平さん、チャリオ君、どうかあの風景を見せていただけないでしょうか‥。
ひめさゆりの開花時期は5月中旬から6月上旬です。
その頃に正平さん、チャリオ君が新潟を訪れる機会があれば
ぜひお願いしたいです。
それでは長期間のロケ、大変だと思いますが、お身体を大切に‥。
千葉県 船橋市 中田 雅子 50歳
千葉県船橋市
中田雅子さん(50歳)からのお手紙