にっぽん縦断 こころ旅
火野さん、スタッフの皆様、楽しい番組いつもありがとうございます。私が紹介する場所は妙高大橋の下にある“大田切清水”です。
母の実家は長野から行くと、妙高の少し先にある中郷です。50年前は橋は無く、清水の前が国道でした。現在、もう1本橋を架ける工事をしています。
両親と山菜取りに行った帰りや、母の実家に寄った帰りには、決まって父が「おい母ちゃん、水飲んでっか?」と聞くと、「うん」と母が応えます。2002年に父が亡くなってからは、私が「母ちゃん、水飲んでっか?」と聞きます。
水を飲んだ帰りには、必ず父の思い出話しをして帰りました。
2009年、母が74歳の時に、清水のすぐ下にある橋の先の土手で こごみを採りました。母はしりもちをつきながら上り下りをしているので、手を差し出しましたが、大丈夫だからとニコニコしていました。その時私は 母の老いを実感しました。 翌年母は胃癌の手術をしました。
癌は治りましたが、山菜採りはできなくなりました。
母との最後の思い出も、2017年の秋に実家にぶどうを届けた帰りに 大田切清水に寄ったことです。 帰宅後 少し様子がおかしいので病院に連れて行ったところ肺炎になっていました。
その後、何度か入退院を繰り返し、昨年の3月に母は父のもとに逝きました。
それからは 海に魚釣りに行った帰り道、
かみさんに「おい母ちゃん、水飲んでっか?」と言い
「うん」とかみさんも返事をしてくれます。
大田切清水に寄ると、父が「うんめなァ~」と言って水を飲んでいたことや、母が「あ~おいしい」と言って水を飲んでいたことを思い出します。
長野県 宮下秀之
長野県須坂市
宮下秀之さん(54歳)からのお手紙