にっぽん縦断 こころ旅
ずっと残したい、ふるさとの風景
正平さん、チャリオ君、スタッフの皆さん、こんにちは。
群馬に来て頂く日を心待ちにしていました。
私のこころの風景は“学校裏踏切”の先にある田園です。
私が二十歳になり働き始めて二か月目のこと、帰宅するとやつはいました。
大学進学で家を出た弟を悲しくてしょうがない母が連れてきた情けない顔をした犬が縮こまっていました。
その犬は六月に来たので『ジュン』と名付けられ、「あんたに世話してもらう気はないから」と母から言われていたのに私もお世話係の一員として散歩に駆り出されていました。
散歩道は体育館近くにある“学校裏踏切”を渡った先にある田園をふらふら歩いていました。
線路沿いの道の隣を走っている電車を見向きもせずに
流れている小川に飛び込んだり、高速道路脇に咲いている桜をゆっくり観賞する暇も与えずに駆け出したり、雷や獣除けの銃声が聞こえると震えながら元来た道を急いでUターンしたりと…。
「育てた親の顔が見てみたい。あぁ、あんな顔だった」と頂上が少し禿げている三峰山を見上げていました。
ただ、ジュンの気まぐれで歩く道を観ながら
「春になったらまたここでふきのとうを採って帰ろうねー」
「昔はここで沢蟹を捕まえたんだよー」
「ここの坂は小さい時は私も弟も自転車で登れなかったんだよねー」と相槌をうってくれないジュンに引っ張られながらも
「まあ、こいつがよぼよぼのじーさん犬になるまで付き合ってやるか」と思っていました。
来るのも急だったジュンにその日が来たのも急でした。
今年の一月末、退職をニか月後に控えた寒い日でした。
帰宅するとただ静かに眠っているジュンが待っていました。
夕方に母との散歩中に倒れそのまま動かなくかったそうです。
その後は私も新しい職場で働き始め、仕事が終わっても散歩を急がすジュンがいないと思うと楽だけど、何か物足りないような気持ちです。
今回正平さんが群馬で走り、しかも放送日がジュンが来た六月だと聞き、投稿しました。
宜しければ最後にジュンが歩いた道を走ってほしいのです。
聞いた話だと“学校裏踏切”を渡り南に線路沿いを通り、坂をあがったさきにある政所沢口遺跡の製鉄炉?近くにある土手まで歩いたと聞いています。
散歩中に死んでしまう程散歩が好きだった犬でした。
宜しければジュンと歩いた道を観てください
群馬県 みなかみ町 吉原 亜弥 29歳
群馬県みなかみ町
吉原 亜弥さん(29歳)からのお手紙