にっぽん縦断 こころ旅
私達夫婦は30年前に、埼玉県戸田市の戸田ボートコース沿いのこの地に越してまいりました。東北新幹線開通に伴い、首都圏直結の埼京線(通勤新線)が新設され、アッ!!という間に 10万人超が住まいする活気溢れる町になったのです。
この戸田ボートコース(戸田漕艇場)は1940年に完成され 1964年の東京オリンピックのボート競技の開催地となり 今に至るまで 社会人・学生・老若男女が集うボート競技の聖地とまで言われています。
ボートコースの両岸には 企業や大学の合宿所、国立艇庫・ナショナルトレーニングセンター等々ズラリと並んでいます。オリンピック開催時の聖火台もありますよ。
夜も明けきらぬ暗いうちから 星のまたたく深夜まで、ボート・ボート・ボート!
雨が降ろうが、ヤリが降ろうが雪が降ろうが、凍てつく寒さで氷の張った水面をたたき割ってまで ボートマンは頑張っています。
私共では、遂に息子まで大学ボート部に入部してしまい、コース沿いの部屋から見おろす親は、寒かろ、暑かろ、冷たかろう、眠たかろう~エトセトラ~誇らしかったです!!
4月から5月、新人さんはジャボン・ドッボン・バシャンとボートがひっくり返ってボートコースの水をたらふく飲みます。この水底には どれほどの数のメガネ、ケイタイデンワ、コンタクトレンズ オカネが眠っていることか!?親はタイヘンだぁ・・・・・・
年間を通してボート競技の全国大会・伝統の定期戦・枚挙にいとまがないほどの競技会が開かれます。
特筆すべきは、応援団が駆けつけて、ドンジャラ・チンジャラ、ガクラン、袴姿のお兄さん、チアーのお姉さん・・・、もうもう最高ですッ!!
ボートコースから100m離れた荒川まで艇を担いで運んでまで練習をすることがあります 一番長いエイト(9人乗り)で17メートル、オールだって3メートルもあるんです。
指揮官の号令に合わせ 心をひとつにして、荒川土手の大階段も運びあげ河川敷まで運び降ろすのです、壮観です!!
河川敷には運動公園が整備され、土手は散歩、マラソン、サイクリング、人々が行き交います。
正平さん撮影隊の皆様を思わせるサイクリングの団体さんも走って行きます。
夫は 20年前に難病指定の
私共にとってこのボートコースは感謝・感謝!なのです。
晴れた日は 車椅子でコース沿いを散歩し、それがかなわなくなってからはベランダからボート漕ぐ若人の姿を、やさしい眼差しで追い続け 生きる力を分けていただいていました。
残念ながら2年前に他界しましたが、ボートコースに感謝・感謝でした。
正平さん、撮影隊の皆様、雨の日、風の日、太陽にジリジリあぶられ、寒風にビュービューさらされ、あえぎ あえぎ、急坂を登りつめ・・・・・・
楽チン・ウキウキという道はそう多くはないですよね・・・・・・
テレビ画面をみつめる私達は・・・・・・一心同体、画面の皆様と時間を共にしていますよ、ありがとう!!
埼玉県戸田市
箭野(やの)みつ子さん(73歳)からのお手紙