にっぽん縦断 こころ旅
正平さん、こんにちは
桜公園の思い出、聞いて下さい。
三河湾と伊勢湾を見晴らせる、高台です。
39年前、私は地元の中学で、産休先生をしていました。同時に半田市の、自動車学校にも、通っていました。
昼間は、中学生相手に強面を、通しました。でも、夜間の車校では、どんくさくて、半泣きでした。
そこで、男友達、マモちゃんにSOS!中古の軽自動車で、坂道発進のおけいこしました。自主トレでした。
そんなある夕方、急に無口になったマモちゃん。私を助手席に乗せ、一気に桜公園へ、駆け上(のぼ)りました。
夕暮れの三河湾に、島影が二つ、三つ。水平線には、灯りがチカチカ。
感動した私は、横向きのトンボ返りを2,3回!
勢いを削がれたマモちゃんは、帰りの車中、ポツポツ話し出しました。
本命の彼女から、結婚を迫られるようになり、気晴らししたかった、とのこと。
「無礼者!」
と、今なら思います。
まだ若かったので、行きづまった二人の、恋愛相談に、のってしまいました。
その後、自分がバツイチとなり、患ったり、折にふれて、桜公園で、癒やされてきました。
39年前のカップルは、それぞれ、別な人と家庭を持ったとのことでした。
桜公園への坂は、急です。チャリオ君には酷でしょうか。
旅のご無事を、お祈りしつつ。さようなら。
愛知県美浜町
久野みさきさん(61歳)からのお手紙