にっぽん縦断 こころ旅
人生を変えた忘れられない場所
私の故郷は奈良県桜井市の上之郷というところです。
あれはたしか私が5歳くらいの時のこと、祖父に連れられて山奥の家から車で町へ買い物に行く時に通る長谷寺の参道で「くさ餅」の看板を見てその崩して書かれた「く」の字が、祖父の名前の「久雄(ひさお)」の「久」と同じだと気がついて、祖父に「あれはおじいちゃんの久雄の久やなぁ」と何気なく言ったのを「そうや!そうや!」と祖父がたいそう喜んで、家に帰ってからも、その日集まっていた大勢の親戚の前でとても褒めてもらったことがありました。
その日のおかげで、私は漢字や言葉が大好きになりました。
祖父は6年前に亡くなり、長谷寺の「くさ餅」の看板も少し変わったような気もしますが、実家から高田へ帰る時に長谷寺の参道を通る時には、祖父のやさしい笑顔を思い出します。
奈良県 大和高田市 井本 友代 36歳
奈良県大和高田市
井本友代さん(36歳)からのお手紙