にっぽん縦断 こころ旅
正平さん、チャリオ君、スタッフの皆様、ご苦労様です。
いつも番組を楽しみに拝見しています。今年の秋、また山口県に来ていただけるとのこと、どこを訪ねられるのかと、わくわくしています。
私がご紹介したいスポットは、萩市(旧田万川(たまがわ)町)上小川(かみおがわ)東分の玄武岩柱状節理です。30万年以上前の火山の噴火によってできたものだそうです。 私がここを訪れたのは 今から30年近く前、実家に帰省中、父から「おもしろい所を見せてやろう」と誘われて出かけた父娘のドライブでした。私の父は、地元の大学に勤める地質学の学者でした。まさに、「学者バカ」の人生で、年がら年中 地質調査のために、山々を歩き回るか、研究室にいるかの生活で、家族サービスなどとはまるっきり縁がなく、家族旅行の思い出などほとんどありません。どんな研究をしているか、娘の私はあまり聞いたこともなかったし、文系人間の私は興味ももてませんでした。
それが、前述の帰省の折、突然私を誘って、私の運転で向かった先が、旧田万川町小川の山中の一角にある「柱状節理」でした。何でも、農道建設中に偶然発見されたそうで、父は、町からの要請で それまでに何度か調査に出かけていたようですが、まだマスコミにも発表されていない時だったので、何もない、山の中に突然現れた六角形の石の配列に、ひたすら驚いたことを覚えています。
なぜ そのような地形になったのか、その時、父が説明してくれたようにも思いますが、門外漢の私にはちんぷんかんぷんで、中身はよく覚えていません。でも、その絶景の迫力に圧倒されるとともに、父の仕事を間近に体験した感動は、今も忘れることができません。
父は、その後まもなく病を得て亡くなり、今年の夏で25年が経ちました。かの柱状節理はその後、山口県の指定天然記念物となり、今は「龍鱗郷」なる名前までついて整備されているそうですが、その後、私は訪れる機会がありません。
正平さん、少し辺鄙な所でチャリオ君にも気の毒ですが、(山口県は道路がいいので、車で行くのは平気ですが、公共交通機関が発達していないので、輪行が難しいです)、よかったら ぜひ訪ねてみて下さい。大自然の営みを感じていただくとともに、一介の地質学者の仕事の一端を感じていただければ幸いです。
(詳しいルートや写真は、山口県や萩市のHPに出ています)
沖縄県のゴールまで楽しい旅が続きますよう、祈っています。
國吉文子
山口市
國吉文子さん(60歳)からのお手紙