にっぽん縦断 こころ旅
前略 正平さん、スタッフの皆さん、チャリオ君 お元気でいらっしゃいますか。いつも番組 楽しく拝見させていただいております。
さて、私の思い出の場所は兵庫県姫路市にある城東小学校の校庭です。40年前、小学生だった私は生まれて初めて恋文をもらいました。それはそれは小さな可愛らしい紙にただ一言、私のことを好いてくれているといった内容でした。
初めての出来事に私は戸惑い、自分がどうすればよいのか、今後彼女にどう接すればよいのか皆目見当がつかず、ただただ周囲に知られて囃したてられるのを恐れていました。
そして後日、彼女に手紙のことを尋ねられた時、私は何と「そんなもの貰っていない」とスットボケてしまったのです。何もなかったことにしたかったのです。その言葉を彼女はどんな気持ちで聞いたことでしょう。私はとても彼女を正視できず、その場から逃げ去ってしまいました。私の愚かな行為が彼女をどんなに落胆させ、傷つけてしまったことか。今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
その後私は転校し、彼女と会うこともなくなりました。
姫路の友人との連絡も途絶え、その後の彼女のことは全く知りません。私も結婚し、子供はもう既にあの頃の私よりもずっと大きくなりました。私自身も初老といえる年齢になり、当時の記憶はかなり曖昧になってしまいました。
ただ今でもはっきりと思い出されるのは、校庭で彼女と一緒にフォークダンスを踊ったこと。そしてその時の彼女の可愛らしい仕草、綺麗な瞳です。
もう校庭に小学生の彼女がいるはずもありません。ただ私の思い出はずっと変わらずあの場所に佇んでくれている気がするのです。
部外者の私が小学校に立ち入ることは出来ませんが、正平さんなら入れてもらえると思いますので、是非私にもう一度思い出の校庭を見せていただけませんでしょうか。
それでは皆さんの旅のご無事をお祈りしてます。
早々
愛知県津島市
加藤 武さん(50歳)からのお手紙