にっぽん縦断 こころ旅
正平さん、チャリオ君、スタッフの皆さんご苦労様です。
そして何時も楽しい番組を有難うございます。
さて、私の皆さんに行って頂きたい場所は、鳥取県西伯郡伯耆町(旧日野郡溝口町)を流れる日野川右岸の土手の上です。
私は、終戦で朝鮮(現在の韓国)から8歳で父母の郷里鳥取へ引き揚げてきました。戦後の大変な時期、父の仕事の関係で小学校六つ、中学校二つと転校を繰り返しました。やっとその土地に慣れたと思うと、又転校で、随分と肩身の狭い思いも致しましたが、日野郡溝口町では、中学2、3年生という年齢もあったのでしょうが、同級生はもちろん町の皆さんに大変温かく接して頂き、楽しい日々を過ごすことができました。
日野川での水泳、魚釣り、大山枡水原での栗採りや近くの山での冬の兎追いなどなど・・・・。
中でも想い出に残っているのは、日野川の土手の石積みの中のスズメバチの巣を獲りに行った時のことです。その日、友人のH君の誘いで一年下のS君、後の一人は思い出せませんが、そして私の4人で、麦ワラとマッチ、そしてH君の用意した油を持ち現場に向かいました。麦ワラに油を染ませて火を点け、蜂の巣がある石積みの穴に突っ込みました。その途端、巣穴から一斉に蜂が飛び出して、私共に襲いかかりました。
必死の思いで蜂を払い除けながら逃げましたが、S君が突然「痛い!」と悲鳴を上げました。
やっと蜂の襲撃から逃れて、彼の頭を見ると蜂に刺された痕が大きく腫れていました。彼も痛みを訴えます。そこで誰が言い出したか定かではありませんが、「蜂に刺されたら、アンモニアをつけると良いそうだから、皆で小便をかけよう」と いうことに衆議一決。S君もそれに納得しました。そこで、座っているS君を他の3人が取り囲んで、一斉にS君の頭上に勢い良く尿を浴びせかけました。
その甲斐あってか、S君には大事無く経過されたようです。念の為申し上げますと、現在の医学では、蜂の刺し傷にアンモには無効とされています。
今思いますと本当にS君に申し訳なく、良くぞ大事に至らなかったとの思いを抱きながら、折りに触れては懐かしく思い出しています。
ちなみに、そのS君は大阪の有名大学を卒業され超一流の企業に就職されました。これには、私共の力も少し与っているのでは?などと思ったりしています。
愛媛県松山市
松本 勲さん(80歳)からのお手紙