にっぽん縦断 こころ旅
“矢筈橋(やはずばし)から見える岩手山と炊事(すいじ)遠足”
私の心の風景は、矢筈橋から見える岩手山と小学校の炊事遠足の思い出です。今から約20年前、私は近くにある西根小学校に通っていました。西根小学校は毎年秋になると、炊事遠足がありました。この遠足は、1年生~6年生でつくる10班で、それぞれの班ごとに鍋から、具材から、調味料に至るまで全て持ち寄り、矢筈橋の河川敷で“芋のこ汁”という郷土料理を作る遠足です。炊事遠足は全て子供達だけで考え、準備を行い、誰が何を調達するか、家(うち)から持ってこれるか、当日河川敷までの約1kmの道のりを持って歩く体力があるかなど、上級生が中心となり全て自分達で決めました。田舎なので、大体の家庭が何かしらの野菜をつくっていたり、大家族で大きな鍋を持っていたり、下級生でも、うちはネギがある、おたまなら...と話し合いは割とすぐまとまるのでした。当日は河川敷へ行くとまず石で釜をつくり 火をつけ お湯をつくりました。ここまでが一番時間のかかる作業だったことはよく覚えています。わいわいと、1年生の子も、6年生の子もそれぞれ役割分担してつくる いものこ汁は本当に美味しく、あっという間に完売になるのでした。熱々の芋のこ汁を美しい岩手山を見ながら食べた思い出は 今でも忘れられません。
今思うと、炊事遠足は地域にとっても大切な行事だったのだと思います。同じ小学校の卒業生である母も経験していて、何十年も続く歴史あるこの秋の遠足は地域の人々に愛されていたからこそ、調理器具、調味料、具材、全てが持ち寄りで、問題なく行えたのだと思います。西根小学校は残念ながら今年の3月に閉校してしまい、伝統の炊事遠足もなくなってしまいました。私は今、宮城蔵王へ嫁ぎ 子育てと仕事に追われる日々ですが、秋になるとあの楽しかった炊事遠足と美味しかった芋のこ汁と、美しい岩手山を思い出し 実家の母と共通の話題で昔を懐かしんでいます。
大好きな雫石とそこに暮らす地域の方々に何か一つでも恩返しできるよう、一生懸命働いて頑張りたいと思います。故郷はいつも私の心の支えです。
(読んでいただきありがとうございました。)
名前:竹内美咲(旧姓:大宮) 女性 32歳
※実家の家族がこころ旅の大ファンです!
いつも心待ちにして拝見しております。
火野正平さん、いつも楽しみにさせて頂いてます。
これからも頑張って下さい!
宮城県川崎町
竹内美咲さん(32歳)からのお手紙