にっぽん縦断 こころ旅
野田中学校の三角コースの上り
正平さん、チャリオ君、スタッフの皆さま。
いつも楽しく拝見しています。
さて、私の思い出の場所は、
岩手県沿岸北部は野田村にある我が母校、野田中学校の校庭をぐるりと囲む三角コースの一部をなす、一直線の上り坂です。
幼い頃からひ弱で運動音痴だった私ですが、相撲や柔道で数々の武勇伝をもつ強い父のようになりたくて、中学校では柔道部に入部しました。直後に担任の先生から校内放送で呼び出され、本当に柔道部でいいか確認されるくらいでしたから、傍目にも無茶に思えたのかもしれません。と言うのも、当時の柔道部は全国大会へ出場するほど強く、練習も相当に厳しいところだったからです。
案の定、全くといっていいほどついていけませんでした。
まず最初に度肝を抜かれたのがこの三角コースの上り坂を使った兎跳びです。ここを、先輩方はノンストップでもの凄いスピードで上り切っていました。当時、走って上ることもおぼつかない貧弱だった私にとっては信じられない光景でした。
当時、足腰の鍛錬といえば兎跳びが定番で、この坂の他にも、愛宕神社の石段、校舎の長い廊下、そして太平洋を臨む十府ヶ浦(とふがうら)の砂浜、いろんな場所で練習に組み入れられていました。当初はギブアップしてばかりでしたが、夏の練習で初めてやり遂げた直後の膝の大笑いや、翌日の強烈な筋肉痛などに妙な充実感を覚えたこと、今となっては懐かしい思い出です。
さて、東日本大震災後、中学校の校庭には仮設住宅が建てられ、野球部などは村のグランドを借りて練習していたそうです。
そんなこともあって、毎年帰省はするのですが、訪れることもほとんど無くなりました。 震災から7年。校庭は復活していると聞きました。であれば、三角コースで鍛える子どもたちの姿も戻ってき
ているでしょうか。昨今は膝を痛めるとのことで兎跳びは避けられているそうですが。
正平さん、チャリオ君。上り坂で恐縮ですが、よろしければ、我が母校の現状を覗いてみてくれませんか。よろしくお願いします。
福島県 西郷村 葛巻 修治 56歳
福島県西郷村
葛巻修治さん(56歳)からのお手紙