にっぽん縦断 こころ旅
拝啓
正平さん、チャリオ君そしてスタッフの皆さん、何時も素敵な時間を提供してくださってありがとうございます。
私は喜寿を過ぎ正真正銘の枯れオトコです。正平さんに誇れるのは歳の多さぐらいしかありません。あと、しいて付け加えれば、髪の毛が数本多いぐらいでしょうか。
正平さんの体力、食欲、話術、動植物に対する知識、そして何より女性に対する興味、関心、アタック度の高さ。これにはいつも敬意と羨望を感じております。なにしろすべて私のレベルをはるかに超えているからです。
私も枯れたとはいえ元オトコ。女性には大いに興味、関心がありました。しかし残念ながら、オスとしての能力は高くありませんでした。正平さんのアタック度を10とすれば、私のアタック度はその半分も無かったようです。
私のこころに残る風景は、一関市東山町にある日本百景の一つ貌鼻渓です。
わたしが高校3年の秋、2級下の女の子と貌鼻渓へ初デートをしました。摺沢駅から自転車で出かけました。そして、貌鼻渓でボートを借りて彼女を乗せ、意気揚々と上流の貌(獅子)岩を目指して漕ぎ出しました。途中までは流れも穏やかだったのでスイスイと漕ぎ、カッコ良さを彼女に見せることが出来ました。ところが終点の直前に少し流れの急な瀬があり、私のこぐボートは何度挑戦してもそこを渡りきれませんでした。眼の先には瀬を登り切った2般のボートがいるというのに・・・・
仕方なく終点を変更して、近くの岩場に上ることにしました。先に上ったのはいいが、後から登る彼女に手も差し伸べませんでした。彼女の手を握る最初で、そして最後のチャンスをみすみす逃したのでした。
正平さん、ぜひ私の初デートの道筋をたどって、私が、「幼いオス」の証明をしたのはこのあたりかな、などと想像して笑ってください。スタッフもいることですから、二人乗りボートではなく遊覧船に乗って。船頭の「貌鼻追分」を聞きながら・・・
皆さんの旅の無事を祈っております。
盛岡市 藤野 薫 男性 77歳 (出身;一関市大東町摺沢)
盛岡市
藤野 薫さん(77歳)からのお手紙