にっぽん縦断 こころ旅
火野正平様
80代の私の姉は火野さんを「正平ちゃん」と呼んで、大のお気に入りです。
70代の私はフルネームで「火野正平さん」とお呼びしています。
こんな老姉妹が 火野さんにぜひ行って頂きたい場所は、岩手県北上市の「展勝地(てんしょうち)」です。
私が10代の頃まで住んでいた北上市。
当時は公園も喫茶店もなく、若い人が出かけるのは展勝地でした。
もし、そういう施設があったとしても あの頃の私は展勝地に行っていたでしょう。
「さんご橋」を渡ると、ゆったりと流れる北上川に沿って 長い 桜並木が続きます。
桜並木が終わると、北上川と和賀川(わががわ)の合流する景色が見えます。
その頃は 川の水量がたっぷりあって、
ここで眺める風景は とても素晴らしいものでした。
17歳の頃
男性の友人と二人、共に下駄履きで展勝地に向かいました。
お互いに恋心など全くなく、思春期の心のうちを語り合える大切な友達同士の二人でした。
話しをしながら、何時間も歩き続けて、そして眺めた風景でしたから、余計心に残っているのでしょう。
途中で私の下駄の鼻緒が 切れてしまい、その友人が腰に下げていた手ぬぐいを裂いてすげて くれました。
思い出は美化されるものなのでしょうか。
まるで 白黒の映画のシーンのように思い出されます。
沢山の思い出のある展勝地。
姉は若い頃から きれいな人でしたので、姉なりの思い出が いっぱいあると思います。
火野さんに展勝地に行っていただけたら、どんなにか 嬉しいことでしょう。
板谷 世津子
(50年以上も経っていますので 地理的に違っていたら、申し訳けありません)
千葉県四街道市
板谷世津子さん(70歳)からのお手紙