にっぽん縦断 こころ旅
正平さん チャリオさん スタッフの皆さん
私のこころに残る風景は、北海道弟子屈町の硫黄山です。
ある日、離れて暮らす母から、明るく振る舞いながらも不安を隠せない声で、がん告知を受けたことを告げられました。
その後、手術によりがんを切除し、一旦は回復しましたが、常に再発の不安は続きます。
私は、少しでも母の不安な気持ちを和らげてあげたいと考え、母が学生時代に親友と巡った北海道に行くことを提案し、親子初めての二人旅に出ることになりました。
私は、思春期を過ぎた頃から母から風来坊と呼ばれ、実家にあまり留まらず勉強もせず友人とバイトや遊びに明け暮れていました。
正直なところ恋人との二人旅よりも緊張し、たまにぎこちない会話を挟みながら当初から計画していた予定を淡々とこなしていきます。
母は雨女で、案の定 天気には恵まれず
ひたすら曇りか雨の道中、旅の終盤に訪れたのが、弟子屈町にある硫黄山でした。
硫黄山は、荒々しい岩だらけの山肌の至る所から噴気を上げ、私は大自然の雄大さや厳しさを心から感じていました。
ふと振り返ると、母は硫黄山を背に、
青々とした針葉樹の生い茂る平原を眺めていました。その母の姿を見た時、私が母に散々かけてきた心配や、母の今までの全ての苦労を背負いながらも明るく生きてきた逞しさ、優しさが 急に自分の心を駆け巡り 涙が、溢れ出てきました。
母が私の方に振り返る前に急いで涙を腕で拭い、何事も無かったかの様に硫黄山を後にしましたが、その出来事が私と母の距離を縮め、何でも話せる関係になれたのでした。
正平さん、この思い出の地を訪れて頂けますでしょうか。
摩周湖から下り、川湯温泉駅で腹を満たし、硫黄山に辿り着くルートが最も負担が少なく快適に走れると思います。正平さんの格言の通り、一度きりの人生、下り坂も楽しまないといけませんね。
好天に恵まれることを心よりお祈り申し上げます。 何卒宜しくお願い申し上げます。
東京都品川区
名古屋泰斗さん(50歳)からのお手紙