にっぽん縦断 こころ旅
岩合さんには悪いけど、正平さんに会いたい。
正平さんロスです。2か月近く正平さんに会えないとなると、これはもう、手紙を書くしかありません。
幸いにも秋の旅は 北海道からとのこと。
私の思い出、こころの風景は 十勝の畑に整然と植えられた からまつの防風林とじゃり道なのです。
50数年前、小学校6年生の夏休みに4度目の転校をしました。帯広から北へ車で20分程の十勝種畜牧場(現:独立行政法人家畜改良センター 十勝牧場)に転居、学校は音更町駒場小学校。1学年1学級の小さな学校でした。学校までの道のりは遠く、ほとんどの生徒が自転車通学でした。真っすぐで平坦な道ですが、石ころだらけのじゃり道で ハンドルをとられることもしばしば。そんな道を 雨の日も雪の日も、暑くて寒い(その寒暖差60℃)十勝の道をひた走りました。
慣れない自転車通学、なかなか打ちとけられない友達。幼馴染み同士の輪の中に入れず寂しかったこともありました。そんな時は、自転車を立ちこぎして猛スピードで走りました。道路の両側の畑に、道路とは垂直に一直線に並ぶ からまつの防風林を目の端にとらえながら。
ついでに自作のからまつ林の歌を大声で歌いながら。今、思うとかなり はずかしいものです。
仲間はずれにされたような気持ちを常に抱いていたのですが、当時の私は自分の殻にこもった、いつも不機嫌でイヤな性格の子と思われていたと聞きました。
膨大な年月を重ねて、今ではすっかりあけすけな ばあちゃんになりました。年月は人を変えますね。
今では、じゃり道でないかもしれませんが、自転車で走ってみて下さい。先人の残したからまつの防風林を横目で眺めながら。
道は、あくまでも平坦で真っすぐです。
札幌市中央区
大味 幸(オオミ ユキ) (63歳・女)
北海道札幌市
大味 幸さん(63歳)からのお手紙