にっぽん縦断 こころ旅
子どもたちの心のオアシス「萬年水」
正平さん、スタッフのみなさん、チャリオクン、こんにちは。
いつも楽しい番組をありがとうございます。
わたしは小学校の教員を退職して2年になります。学校を離れてしばらく経つのでその頃の記憶もどんどん失われていくように感じているのですが、ふとしたきっかけで教員時代の出来事が思い浮かぶことがあります。
今から20年近く前のことになります。教頭になって初めて赴任した学校が山形市の隣にある山辺町の作谷沢小中学校という小中併設の小さな学校でした。小学校1年生から中学校3年生までが仲良く生活する「上級生の思いやり」と「下級生のあこがれ」に満ちたとてもすてきな学校でした。
赴任して早々に入学式が行われ、小さくてかわいい1年生が緊張と期待の表情で入学してきました。入学してしばらくの間は、1年生は午前中で授業が終わるので、1年生だけの下校になります。
そこで学校の職員が帰る方面ごとに子どもたちを引率して自宅の近くまで連れて行くのです。わたしが担当したのは、北作方面の1年生3人でした。担任の先生にさよならを言って、子どもたちは元気に学校を出発します。真新しいランドセルに入った筆入れがカタカタ音を立てます。
道ばたの残雪の間からは福寿草が顔を出しています。
ちょうど行程の半分ぐらいの所にあるのが萬年水。
作谷沢にいくつかある湧水の一つで、亀の口から水が湧いています。
子どもたちは萬年水が見えてくると駆け寄って順番に水を飲み、それぞれが小さなため息を「ほっ」とつきます。そのため息から、子どもたちが慣れない学校生活でがんばっている気持ちやおうちに帰れる安心感、また明日も学校行くぞという決意のようなものが伝わってくるのです。
屈託がなくていつも元気な1年生ですが、それなりに人生がんばっているんだなあと、なんか励まされる思いになったことを覚えています。萬年水はきっと今年の1年生のことも優しく見守ってくれていることと思います。
萬年水まで山形市からだとずっと坂道で、かなり元気で物好きな人でないと自転車で登るのは無理と思われます。
どうか監督さん、行程をいろいろ工夫していただき、
正平さんを楽しく萬年水まで連れてきてくれればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
山形県 山形市 石塚 直樹 62歳
山形市
石塚直樹さん(62歳)からのお手紙